Your expect language

□don't hurry
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「あぅ…っ!!」



頭が痛いほどに



目眩がするほどに



それは襲いくる。



【Your expect language--don't hurry】



「…ぼうや…」
「ん…」

ぎゅ、と強くサレの服を握りしめる。
目の前に見えるのはサレじゃなく、別の世界だから。

耐えるために。

「………、」

サレは言うべき言葉が見つからないのか、何も言えないのがつらそうな顔をしていた。

事実、サレは何も言えないのだ。
頑張れ、とか、大丈夫、とか、
ボクみたいな人達には拷問でしかない。

死ぬよりつらい

生き地獄なのだから。



「ぅ…」

ボクの顔や体に冷や汗が伝う。
苦しくて

苦しくて

早く消してしまいたい。

「ぼうや…」
「あぅ…」

目の前の光景と視える光景はまさに真逆。
ボクが負けないように、ボクを包み込むサレと、殺されるサレ。

気が狂う


けど、負けちゃダメなんだ

またサレが心配しちゃうからネ。



負けたくも、ないし。



ボクは幻覚じゃなく現実を認識したくて、サレにきつく抱きつく。

曖昧な感覚の中、少しだけわかるサレの体。

サレが撫でてくれてる手。

声。



どれかひとつでも欠けているならば、もうボクはボクを保てない。



「サレ…」
「ん…」

よしよしと、あやすように撫でるサレ。

もう少しで元に戻れる。
一回でも打ち勝てたなら、それは自信に繋がる。

だからボクは負けない。


強い気持ちがあれば…


強い意思があれば…



できる。





「サレー」
「なに?」
「外に行こうヨー」
「う…まだ書類が終わってないよ」
「うにゅー…」


ボクは仕方なくミリッツァのところへ向かった。





「とうっ!」
「わ!?」

背後からいきなり飛びつかれたことに驚いたミリッツァは、普段あげないような悲鳴もどきをあげた。

振り向いたミリッツァの表情は驚き一色で。

「マ…マオか。驚いた」
「えへへー」

ごめんネ、と言ってボクは謝る。ミリッツァもそれで良かったのか、特に追及はしなかった。

「どうした?」
「んとね、サレがまだお仕事終わってないから来たの」
「ふむ…しかし私のところへ来ても今日は何も…」

キョロキョロと辺りを見回すミリッツァ。確かに何もない。


ぎぃ、



何か扉の開く音がした。

「、マオ、ここにいろ」
「え…う、うん」
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