Your expect language

□crack
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無駄なんてない


無駄なんかじゃない


ボクは…




【Your expect language--crack】




ボクは一人、城内を散歩していた。

最近、自分だけで“そと”を見ている。城の中といえど、上からの景色を見るのも悪くないんだ。あとでサレやミリッツァに教えてあげたりして、ネ。

最近はサレが忙しいからミリッツァとよく話してるんだけど。





ボクもなんだか段々普通になってきた気がするなあ。


ボクはとことこ歩いていた。








「………」



前方に、ガジュマが一人立っていた。トーマだ。

ボク…トーマはあまり、好意を持てない。前にミリッツァの部屋で言ってた言葉のこともあるけど、なんだかボクがサレにとって邪魔だと言ってるような気がして。



それ以前に、“ボク”が邪魔だと言ってるようで、好きになれない。





トーマと鉢合わせたくはないけど、遠回りもできないのでスルーすることにした。だがしかし、トーマはボクを逃がさなかった。

ボクの行く手を遮り、気持ちの悪い眼差しでボクを舐めるように見てくる。



「お前、マオっていう奴だな」
「…何?ボクに用?」



ボクの前に立ちふさがる牛のガジュマは、見るだけでも、声を聞くと殊更に嫌な気分になる。そんなトーマに、ボクは嫌悪感を拭えない声で訊ねた。



「お前、働いてないだろう」
「そうだヨ」
「働いてないなら出ていったらどうだ、邪魔だ」
「………」



反論したいが返す言葉もない。働いてないのは事実だ。

ボクはトーマを睨んだ。



「なんだその眼は?お前のせいでサレも最近動いていないんだ。仕事に差し支える」
「キミの仕事が増えてるだけじゃない」
「仕事もだが、最近サレがひ弱で仕方ない。お前が邪魔なんだ」
「……なんだって?」



トーマの言葉にボクは耳を疑った。

サレがひ弱…?



「気付いてさえいなかったのか?ふん、これは傑作だ。
お前の世話ばかりしていて、弱くなっていると言っているんだ」



昔はあんなに残虐な笑みを湛えていたのに、今では四六時中悩んでいるのが気に食わない、とトーマは言う。



サレがボクにつきっきりだから…



「サレもいい加減お前が鬱陶しいのだろう。
構うのも無駄だと思っているはずだ」
「ーーーッ…」



構うのが無駄だって?



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