Your expect language

□Your expect language
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「…ぼうや、もう来ないで」
「え…?」

キミはいきなり
ボクにそう告げた。


Your expect language



「なんで…」
「いいから。もう来ないで。
出てって」

突然キミはトゲトゲしくなった。ボクは意味がわからなくて、とにかく拒否した。

「ヤダ」
「出てって」

それでもキミは意を曲げない。

「理由は何?」
「キライになった…それだけでしょ?
出てって」
「ヤダ」
「…出て行け」

冷たい瞳がボクを見下ろす。力ずくでも押し出すつもりだろう。
ボクは目に涙を溜めてサレにしがみつく。

「イヤだよ…ッ、なんで…ッ」
「さっき言ったろう?」

有無も言わさない。

「ヤダ…ッ」

涙でぼやける視界の先、キミの瞳は冷たかった。

好きなのに。
どうしていきなり嫌いになってしまったの?

「サレぇ…っ」
「うるさいよ」

無理やり、ボクは閉め出された。呆然と扉を見つめ…そのまま泣き崩れた。



それから数日。
サレは毎回ボクを疎む。とにかくボクに冷たい。
話しかけることさえできない。
ボクは、そんなときに感じる空虚感に耐えきれず、部屋に閉じこもるようになった。

「………」

喋りたくもなかった。
サレのことがわからなかった。
ボクのことさえわからなかった。

表情さえも
固まったかのように…―



「大丈夫か…?」
「………」
部屋には将軍が来ていた。けれど、言葉を発するのさえ嫌だった。

「…どうしたのだ?言えば少しは楽になるかもしれんぞ?
嫌ならいいのだが…」

…将軍に…
サレの真意がわかるかな…?

そう思って、虚ろな瞳を将軍に向けた。



「…サレに…嫌われ…た…」
「サレに…?」

真剣に聞いてくれる将軍。
ボクの口は勝手に言葉を紡ぐ。

「ボク…もう…わからな……」
「そうか」

悲しげな瞳でボクを撫でてくれる。


胸に痛みは無い。
涙と共に
消えてしまったから。



「サレ」
「なぁに将軍。忙しいんだけど」
「全く忙しくなさそうに見えるがな」

そうかい、と短く返すサレ。

「…マオに何を言った?」
「別に。部屋から追い出しただけじゃない?」
「それにしては様子が変だ」

サレはフン、と鼻をならし、目を瞑った。

「キミに言うことなんて無いよ」
「…ならせめて、見舞いに行け」
「ヤダね」

凍てついた瞳は尚もマオを拒み続ける。

「一回だけでも」
「イヤだね」
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