Your expect language

□don't hurry
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ミリッツァの言うがままに、その場で息を潜める。
それを確認したミリッツァは、ボクから死角となった扉へと歩いていく。

「……何用だ、トーマ」
「ふん、随分と偉そうな口振りだな。
…まあいい、最近王の盾に働いていない奴がいるそうだが」

トーマの言葉に、ボクは目を見張った。

働いてない者。
まさしくボクのことだった。

「それが何だ?」
「そいつがサレとお前のところへよく出入りしていると聞いてな。
…邪魔な奴は消すに限る」
「そんなもの、お前に決められることではない。
用はそれだけか」
「それだけだ」

なら帰れ、とトーマを追い返す。どこか不快になる声で不機嫌そうにし、おとなしく帰っていった。

ミリッツァはそれを確認し、1分程待ってからボクのもとへ帰ってきた。

「マオ」

膝を抱えてうなだれるボクに、ミリッツァは視線を合わせてくれる。

ボクもミリッツァを見上げた。

「…トーマの言った事、気になるか?」
「…うん…」
「そうか…」

否定のできない事実。しかしボクはこんな状態では働きようがない。ユージーンも、毎日色々大変だというのに。

早く、

早く戻りたい。

「マオ」

ふいにミリッツァがボクを抱きしめた。

ボクは目をぱちぱちさせながらミリッツァの腕の中に収まって。

「焦るな」

早く、

早く…

その言葉を打ち消すように。

「お前のいる場所に近道はない…ゆっくりでいいんだ」
「ミリッツァ…」

ゆっくり、

ゆっくり…

「でも遅すぎても…」
「…足の遅いものが足の速い者についていけるか?」
「…?」
「足の速い者は、遅い者に合わせるのが普通だ」

お前は遅いんだから、私達が合わせるんだ、とミリッツァ。

ゆっくり…

ゆっくり。

「ぅん…」

焦ったらかえって遠回りになるかもしれないんだと

ゆっくり、自分のペースでなおしていいんだと、

言われてる気がした。

「さ、何かをしにきたんだろう?何をする?」
「んと、ね…」



足が絡まないように


自分の道を自分のペースで


それが一番の


短距離かもしれない。


惑わされないで


ボクの心。




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