短編2

□トリックオアトリート!
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「トリックオアトリート、皆さん」
「「「……は?」」」


変な格好…っつーか猫耳かわ……じゃないピンクの髪のクセに黒猫コスプレまでして俺たち二年組を見上げてくる飛亜咲。


今約一名見下げる形になるやつがいるだろとか思ったやつ後で体育館裏に来やがれ。


「あ、そっか。ハロウィン近いのかー」
「すっかり忘れてましたね…」


浜野と速水が口々にそう言う、というかよくこの状況を受け入れられるものだ。

唐突な上に俺には意味わかんねーよ。


「だから何だよ?菓子なんか持ってねえし」
「いいえ倉間先輩、トリック、オア、トリート…イタズラか、お菓子かという英語であって…」
「分かってんだよ!!お前どれだけ俺を馬鹿にすりゃ気がすむんだよ!!後輩に英訳される覚えもねえしこれでも英語は得意な方だっつの!!」
「中の人的に?」
「中の人引っ張り出してくんな!!」


なんで俺こんなに全力で突っ込まなきゃならねえんだよこいつら疲れる…。

俺がひとつため息をついたところで、部室のドアが開いた。入ってきたのは神童と霧野……あれ、霧野がいな……


「飛亜咲可愛いなんだその格好嫁に来い!!」
「まだ結婚できる年じゃない…」

「おいちょっと霧野自重しろ!!!あと飛亜咲も突っ込むところ違うだろ!!!」


また面倒臭いのが増えた…!!

もう誰か変わってくれこの役柄。


「突っ込みの師匠…!」
「誰が師匠だよもう頼むから黙れよ!!」


あああこいつが一番面倒臭い!!

大体何なんだよその格好どこから何のためにどうやって用意したんだよ!!


「まあ倉間、落ち着け」
「いやいやいや何でお前いつも通りなんだよこの状況見てもっと色々気にするところがあるだろ!!?」


神童まで俺の苦労を増やす気かよ!!
一番動じそうなお前がなんで平常なんだよ!!


もうそんな突っ込みを口に出す気力すらなく、さっきよりも盛大なため息を吐く。


「ああ、まあ…気になるところは、あるが……」
「そうだろ!?それをガツンと言ってやれよお前キャプテンなんだからよ!!」


そうだよ普通気になるだろう色々と!!

こんなもん平常でいられる方がおかしい…


「飛亜咲。お前に似合う猫耳は、髪と同化するピンク色だと思うんだ」
「…勉強になります…!」
「そこじゃねええええええええええ!!!」


確かに気になる!!なんで黒を選んだのか果てしなく気になるが!!もっと他に気にするところがあるだろうが!!

つーか今更だけど今日10月29日なんだよハロウィンには2日早いんだよ!!

まず違うだろそこから違うだろなんで気にしねえんだよこいつら…!!


…言いたいことは山ほどあるが、もう深くため息をつくことで堪えておいた。





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