モルグ

□G・O・D5+
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ゴロゴロゴロ
「くぅ・・・」
それからしばらくは時間が経ったのだろうか。相変わらずの、いやさらに強まる腹痛に苛まれてめまいさえしてきた
ゴポゴポギュポ
音も止むことなくますます酷くなる。
何かが腹の中を駆け巡ってるような感覚さえする
実際、何が駆け巡ってるのかって考えると吐き気までしてきた
ギュルギュギュギュギュ
「うぐ」
「おーおーすげー音、さすがにツラいだろ?しかもただ下してるんじゃなくて精液だもんな、ははは」
笑い事じゃない。ていうか人が濁したことをはっきり言うな。
もう限界だ、と駆け出したがグッと手首を掴まれた。
キッと睨み返すが彼はこちらを振り向きもしていない
「離してください」
「どこに行く?」
「すぐ、戻りますから」
「便所なら近くにはないぞ」
「・・とにかく、離して、ください」
しかし彼は手の力を緩めることなく、ただちらりとこちらを一瞥してきた
「何、涙目になってんだよ」
「・・・だって、俺、もう・・」
ギュルルル
「っつ」
「おい、もう出てくるぞ」
「えええ・・・」
出そうなのはこっちだって、なんてつっこみ入れてる余裕はない
一瞬迷ったが、腹を抱えたままいるべき場所に戻る
「まだ奴が生きてるってことは交渉成立したな、よし殺っちまえ」
「・・・は、い」
懐からマグナムを取り出し両手で構える
腹を押さえてないと痛みが増す気がするが、この距離を片手では難しいだろう
ギュルギュ・・・
というかこの状態で大丈夫か、俺
なんて心配してる間もなくウィキッツォが出てきた。障害物はなし、今しかない
息を止め、照準を見極める、そして指に馴染んだ引き金を引く
バンッ
銃が弾を吐き出し、まっすぐにターゲットに向かう、この軌道は当たっただろう
その反動が身体に帰ってくる
普段ならもう慣れてなんてことない衝撃だが、今の自分には・・・多きすぎた
「うお、一発かよ!よーしやったな、じゃあズラかるぞ・・・て、あ?」
「・・・・」
「あーあー出ちまったか、まぁ仕方ないさ」
怒るでもなく馬鹿にするでもなくさらりと言った。
彼の察する通りの状況に羞恥と、それとまだ残る腹痛に苛まれ動けない
次第に下で銃声が響きだすが、弾はこことはまるで違うあらぬ方向に向かっている
「ほら、バレないうちに帰るぞ」
頭をパフパフと叩き、促される。それでもうずくまっているとひょいと肩に担ぎ上げられた
さすがにわざとではないだろうが、腹部がちょうど肩に当たる
「うっ、ちょ、降ろして、腹が・・・」
「そのまま出して良いから」
「そんな、ん、ぐ・・・」
堪らずまた少し出してしまうが、彼はそんな状況を気にせず俺を担いだまま走り出した。振動が腹に直接響き、どんなに我慢してみても、ブピッとかゴボッとか情けない音を立ててあふれ出すそれをもう止められなかった。
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