どくだみノベル

□Clumsy Kiss
1ページ/2ページ

「うー…」
風邪を引いた。
ライブやレコーディング中なんかは色々気を遣ってるが久しぶりのオフなんかあれば直ぐ不摂生。
それがたたってこの様である。
「佳ちゃん、具合どう?」
由子の心配げな声が聞こえたので俺は布団から顔を出した
「…だるい………」
「じゃあ熱は……」
そう言いながら由子は自分のおでこを佳祐のおでこにつけた。
「あーまだ熱っついね、熱計った?」
「……ぃや………」
「まぁ何度かわかっても仕方ないもんね。何か欲しいものない?」
「……………なぃ…」
食欲はないし、何より熱で頭が回らない。
「そっかぁ……」
由子は顔をのぞき込んだまま何かを考えている
「でも水分補給くらいしなきゃね、スポーツドリンク持って来る」
言うが早いかパタパタと部屋を出ていった。ぼけーっとドアを見たままでいると、しばらくしてまたパタパタと部屋に入って来た。

手には言ったとおりのスポーツドリンクとコップ、それから氷枕が乗ったおぼんを持っている。
ベットの横に座りトクトクトクっと軽快な音を立てながらコップにスポーツドリンクを注ぐ。
「ちょっと身体起こせる?」
「………起こせない……」
別に甘えてるわけじゃない…と言ったら嘘になるかもしれないが本当に起きるのはちょっとつらい。
「じゃあ…ちょっとごめんね」
そう言いながら肩を軽く支えて身体を起こさせた。そしてそのままコップを………自分の口へ持って行った。驚いたがそんなのは一瞬だった。次の行動の方が驚いたから―――
「…ん…」
由子は液体を口に含んだまま唇を重ねて来た。心地よい温度の液体が喉を駆け抜けていった。
「……?…??」
俺はわけがわからず困惑してるというのに
「ちょっとぬるいけどあんまり冷たいとお腹痛くなっちゃうからね」
なんて笑顔で言う。
これは…何だ?…熱で頭が回らない
「まだ飲む?」
「ぇ……あ、いや…」
「そう、じゃあ薬を…あ!いっけない、薬持って来るの忘れちゃった!取って来るね」
そう言ってまたパタパタと部屋からいなくなった
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ