お猫様の暴暴日記

□0.〜解せぬ〜
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『さぁ始まりました!HERO TV!!
シルバーステージで強盗事件が発生!!
犯人は今だ人質を取ったまま、立て籠もって居る!!
今日は誰が一番乗りとなるのか!?』







『………始まったぜ?』





『…………………………。』




中継のヘリが飛ぶ中、暗がりで二人の人物がバイクに跨りながら様子を窺っていた。



『………おいおい。
しっかりしてくれよ?
アンタがしっかりしてくれねぇと俺が困るんだからよぉ…。』




大柄の方の影が寝そべりながら傍らに居る相方に向けて肩を窄めながら言う。



『…知るか。
お前はお前で勝手にやればいいだろ。
俺は俺でやる。』


と彼に比べると小柄な方の影が自身のバイクに寄り掛かったまま応える。



『そうもいかねぇから言ってんだろ?
ホントに頼むぜぇ?』



そう言って相方を窺う大柄な方。



『………やる事はやる。
それでいいだろう?』


不機嫌さを隠そうともしない態度で冷たく言い放つ。



『まぁ…今回はそれでいいか。』



渋々と言った感じで納得する。



そうして話しているうちにも、HERO達が次々と犯人逮捕と人質救助をしていく。




『そろそろ俺達も行かねぇと、ポイントが入らね…』

『おおっーと!!
なんと言う事だ!!
犯人の中にNEXT能力者が居たようだ!!
これでは迂闊に手を出せない!!
どうするHERO!?』



大柄な方が(ポイントの)心配をし始めた時、急展開を見せた。



『心配する必要無くなったな。』



とても冷静に言い放つ。



『冷静に言ってる場合じゃねぇだろ?
どっちにしろ早めに行かねぇと…。』



そう言って相方をせっつく大柄な方。




『どうやら犯人の能力は“触れた物を爆発させる”ようだ!!
人質が居て思うように動けないHERO達!!
この状況をどう切り開くのか!?』





『………爆発だとよ。
お前ならイケんじゃねぇのか?』


そう言ってさっさと行って来いと言わんばかりにジェスチャーを送る。



『あのなぁ…俺だけ行っても意味ねぇんだよ。
“この街で二組目のバディ”で売りに出すんだってCEOから言われてんだろうが。
それにあんたがメインだろコレ。』



溜息を吐いて頭を掻きながら言う。



『それこそ知るか。』



絶対零度と言っていいような冷たさを持った声で言い捨てる。



『だからぁ…』
『おぉっーーと、犯人が逃げかかっている!!
このまま逃亡を許してしまうのかぁ!?』


言葉を紡ごうとした瞬間に事態が変わったようだ。



『無能ばっかか此処は…。
………おい、お望み通り動いてやる。
だが…』
『わーかってるって。
あんたのやりたいようにやればいい。』

『ふん。
分かってんなら、しっかり掴っとけ。』

少し苛立ちながら、動き始める小柄な方。
バイクにエンジンがかかった。











『このまま犯人を逃すしか成す術はないのか!?
どうするHERO!?』




『だーーーー!!
何とかならねぇのか!?』




『なるものならとっくにやってますよ。
人質が相手側に居るから下手に手出ししたらどうなるか…。』




『あの能力さえどうにかなればなんとかなるんでござるが…』



『…っ!!
逃げるのを指咥えて見てるしか出来ないの!?』




『あんなにくっついてたら人質の方にまで被害が加わっちゃうし…』



『モゥ、どうしろってんだよ!!』



『いや、絶対なにかある筈だ!!なにか!!』



『その何かがないからこうやってるんじゃな〜い。』



良い手がなく、困り果てるHERO達。




『成す術がないHERO達!!
絶体絶命のピンチだーー!!
…って、えっ?』




その時、解説が言葉をなくした。




ワオオオオオォォォォォォォォォンンンンンンッ!!!
ドギャァァァァァァ!!
バキメキメキメキ………







全『『『『『『『『『…………』』』』』』』』』


あまりの事態に全員が言葉をなくした。




『…はっ!!
あ…あまりに一瞬の出来事で言葉をなくしてしまいましたが、これはいったいどう言う事だぁ!?
このまま、犯人を逃がしてしまうかと思いきや…突然現れたダブルチェイサー!!
現れたかと思えば犯人を撥ね飛ばしたぁぁぁぁぁぁ!!
にも拘らず人質は無傷だっ!!』




いち早く我に帰った解説の声が響く。



『………派手なのは好きだがアンタやり過ぎじゃね?』


微妙に引き攣った声で話しかける。



『問題無い。
コレが俺のスタイルだ。
お前も俺のやり方、見たんだろ?』


涼しい顔で言い放つ。


『そりゃ見たが…実際に体験するのとは違うっつーか。』

と渋るように言ったが…
『慣れろ。』



『Σいや!!
なんか違うだろ!?』

必死に否定をする。



『んなことより、さっさと潰してこい。
逃げるぞアレ。』
そう言って撥ね飛ばした男達を指す。



『おっと、逃がすかよ!
どっどーん!!』

慌てて降りると、ポーズを取りながら能力を発動する。



そうする事により彼の周りに重力場が現れ、犯人達を地に伏せさせる。



『俺のブーツにキスをしな!』
決めゼリフと共に展開を辞める。




『なななななんとーーーーー!!
この男を我々は知っているぞ!!
先のジャスティス・フェスティバルで活躍後、シュテルンビルトを去って行ったHERO!!
ゴールデンライアンだぁぁぁぁ!!!!』


その言葉と同時に、カメラにアピールするゴールデンライアン。



ライアンに潰されたにも拘らず、尚も逃亡しようとする犯人達。



『………俺が居て、逃がすとでも思ってんのか?
あ゛ぁ?』

後ろから底冷えする様なドスの効いた低い声が聞こえたと思うと急に動けなくなる犯人達。



『おおっと!!
ライアンと共に居た人物が犯人達を捕まえているようだ!!
この人物はいったい誰なんだーー!?』


ライアンからそう離れていない所に立っている小柄な人物にヘリのライトが当たる。



そこに居たのは黒い服、黒い靴に黒いゴーグルを着けたNEXT能力者。




見ている誰もが(色々な意味で)目が離せなくなっている中、その人物は口を開いた。




『…よく聞けぇ!!テメェ等ぁ!!!
俺の行く道、邪魔するモノは何人たりとも撥ね飛ばすっ!!!!
肝に銘じとけっっ!!!!』




そう大きな声で噛みつく様に放たれた言葉。




『ヒュ〜♪
流石は“暴君”様って感じ〜?』




茶化すかの様に言うライアン。




『傍若無人!!
まさにこの一言に尽きる様な人物だー!!
いったい彼(?)は誰なのか!?
そして、ゴールデンライアンとの関係とは!?
とにかく、今シーズン最後を飾ったのはゴールデンライアンと謎の黒衣の人物だー!!』






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