君の世界 俺の世界
□怪談ト秘密
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この国に引っ越してきて、何年経っただろうか。
俺の通う学校は、エスカレーター式で、入試などない。
ただ、ちょっと変わってるけど…
この学校の特徴は、生徒、教員、事務員…この学校に携わる人みんなが戦闘能力に長けていること。
小さいときから護身術などを身につけ、将来は国を守るような組織に、それぞれ配属されるらしい。
だから入試は無いのだろう。
しかし、入学してからは勉強も身につけなければならず、学力ごとに分かれて授業を受ける。
まぁ、俺は知らずに入学したんだけどね…
もともと家柄的に「お勉強」はできなきゃいけないと、小さい頃から専属の家庭教師まで付けられていた俺には、入試がどうであろうとどうでもよかった。
けど、最近それも変わってきてるんだ。
「ソラ!」
この学校で、友達ができた。
俺を呼ぶ声がある。
「おう!」
「おもしろい話があるんだぜ!」
毎日が楽しい。
だから、やっぱり、この学校にきて良かったと思うようになった。
「何?」
でも、彼らと仲良くなる度に、心苦しくもあるんだ。
だって、俺には誰にもいえない秘密があるから。
言ってしまったら最後、彼らが危険にさらされる。
いくら戦闘能力が高くたって、生身の人間じゃ、かなわないことだってある。
だから俺は口をつぐみ続ける。
二度と同じ過ちを繰り返さないために。