1
□焦げカボチャ
1ページ/2ページ
ハロウィン企画
カチッ。
ある邸宅のすぐそばで、小さく、ゲルブの狙撃銃が音を立てる。
弾丸が一直線に飛んでいく。
パリン、と小さな音を立てて窓ガラスがくだける。
直後、その邸宅の中から大きな騒ぎ声が聞こえてきた。
「一発打ち込んだ。あっちのボスの手を打ち抜いた」
ゲルブが手元にあるトランシーバーに小さな声で語りかける。
すぐに、その小さな黒い機械から女の声が流れ出る。
「了解。今からわたしとシュバルツが進入する。連絡は取れない。作戦通り行動すること」
「了解」
一言つぶやいてゲルブはトランシーバーの電源を切る。これからはもう使わない、使えない。作戦通り行動するのみ。
目の前にある邸宅の騒ぎが、一瞬沈静化した。
きっと、侵入者に気づいたのだろう。
ゲルブはまた弾丸を狙撃銃につめた。
また中が騒がしくなってきた。ゲルブの耳にも「侵入者だ」などという叫びがかすれて聞こえてくる。
ゲルブは場所を移動した。もっと狙いやすい場所へと。
中の騒ぎがだんだん沈静化していく。いや、沈静化ではない。一人、また一人と消えていっているだけだ。
そんな中、血まみれの手をしたボスは、あいかわらずさっきと同じ窓の向こうにいる。逃げても無駄と悟ったのか、それとも新興のチームと思ったのか。
そのそばをボディガードらしき男が守る。
数は……三人。弾の数は5つ、作戦を実行するにはちょうどいい数だ。
ゲルブは狙撃銃をボディガードに向ける。
そして、静かにボタンを押した。
またカチッと音がする。
次の瞬間には、ボディガードの一人は既に倒れていた。
すぐに弾を詰めて、またボタンを押す。
一回。二回。
数秒後、ボスは守るものはもう何もない状態でそこにいた。
後は、きっと二人がやってくれる。
ゲルブは後片付けのため、邸宅に入った。