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□うご
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リクエスト「中国奥地組」







キャン!

中国奥地の上空で、高い泣き声が響いた。

おそらくは小鳥だろうと思われる、悲鳴のような声に、ヤウズと皇帝はいそいそと外に出てきた。

「小僧、どうした?」

「知るかよ。でもいま、鳥の声したよな」

「なんでだ?」

「だから知らねえって!ポッポでも食われたんじゃないか?」

皇帝はヤウズの言葉を鼻で笑った。

「バカか。ポッポが食われるわけ無いだろ?なんせポッポは世界の最先端をいく鳥だからな!」

「そ、そうか…」

皇帝の勢いに押されて頷くヤウズ。

そして、空を見上げた。

「…鳥、いつまでたっても、落ちてこないな。悲鳴は聞こえたのに…」

「そのまま食われたんだろ」

あっさりという皇帝。

ヤウズは皇帝を凝視する。

皇帝はうーんと伸びをしながら言った。

「最近、ここいらにも鷹やら鳶やらが増えてるからな。今頃はでっかい鳥かなんかに食われてるところだろ」

「……そうか」

ヤウズは小さく言う。

皇帝はあくまで軽く言った。

「ま、弱肉強食ってやつだ、弱肉強食。弱い奴が食われて、強い奴が残る。そんなもんだ」

「……」

「だから――」

皇帝は親指を付きたてた。

「せいぜい食われないように、修行がんばれよ!」

「結局そこかよ!だから弟子じゃねえって!」

ヤウズの叫びが、小鳥の消えた空に木霊した。


〜FIN〜
リクエスト主様のみお持ち帰り可。

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