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□挨拶
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「おはようございます、セブルス先輩」

「ああ、おはよう」

スリザリンの寮の一室。

まだ朝早いこの時間、起きだした生徒は互いに挨拶を交わす。

ふああ、とレギュラスの口が大きく開く。

それを見ていたセブルスも、つられて小さくあくびをした。

「ふわ、あ……あー、レギュラスのが感染った」

「見てるのが悪いんですよ」

言っている間にも二人は魔法でてきぱきとベッドメイキングを行い、パパッと着替える。

起きてから5,6分のうちに、二人は制服を着て綺麗に整えられたベッドの近くに立っていた。

あとはもう出るばかりの格好である。

「ふう、支度終わりですね。……で、」

ちらり、と一番奥の緑色の天蓋に包まれた一角を見るレギュラス。

「今日もまたルシウス先輩起きてないですね……」

「またか……」

げんなりしたセブルスの声。

「起こすか?」

「起こさなかったら絶対ぼくらのせいになりますよね……」

「だな」

「……起こしますか。面倒ですが」

「そうしよう」

二人はローブのポケットから杖を取り出す。

「今日はどうしますか?」

「んー、枕ふっとばすって言うのでどうだ」

「いいですね、それ」

二人が杖を天蓋に向けた。

「「せーの!」」

二人の杖先から紫じみた閃光が飛び出す。

その光は天蓋を一部破って、まっすぐルシウスの頭の下に命中した。

バン!と鈍い音がして、枕が裂ける。

白い羽がふわふわと舞った。

そのまま、沈黙。

「……先輩、おきましたか?」

「あ、う……」

巻き上がるほこりの中で、むくりと人影が起き上がる。

「「おはようございます」」

「おは、よう……」

ようやく完全に起き上がって、ベッドから抜け出したルシウス。

体中に大量の羽毛が付着していて、目も当てられない。

「羽毛だらけですねー」

「ちゃんと落としてくださいよ」

「誰のせいだと思っている……大体、毎朝毎朝物が壊れたり怪我したりやけどしたり……もうちょっとソフトな起こし方はないのか」

「起こしてもらってるくせになに言ってるんですか?」

「ぼくとレギュラスは毎朝毎朝先輩をおこして“やってる”んですよ。感謝して欲しいですね」

「やってるって……」

ぶつぶつ言いながらも着替え始めるルシウス。

レギュラスとセブルスは、それを見てくるりと背を向けて、階段を下りていった。

「あとちょっとで朝食ですよ、遅れないように」

「ああわかったー」



おはようのあいさつ



これがぼくらの日常。




〜FIN〜

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