2
□ハロウィン企画おまけA
1ページ/1ページ
ハロウィン企画 親世代グリフィンドール
「「リーマスーリーマスー」」
「ん、なに」
リーマスの名を呼びながら駆け寄るジェームズとシリウス。
中庭の日の光に反射して、ジェームズのメガネが輝く。
リーマスはチョコレートを口にほおばりつつ駆け寄ってくる二人を眺める。
そして、二人がリーマスの目の前に到着。
「リーマス」
「ん?」
「「トリックオアトリート!」」
バッと示し合わせたかのように息ぴったりに右手を出すジェームズとシリウス。ちなみに打ち合わせはしていない。
リーマスは冷めた眼で二人を見る。
「……何のまねなんだ」
「いや、今日ハロウィンだろ?だからたまには菓子くれねえかなあって」
「あげると思う?」
「……思わないです」
「よくできました。そのとおり、あげないよ」
リーマスは一ミリもほめていない口調でシリウスに告げると、またチョコレートを食べ始める。
そして、呆然と突っ立っているシリウスに向かって、正座して反省してれば、という。
シリウスは素直にそれに従う。
そのとき、今まで黙っていた(最初以外)ジェームズが言う。
「ならさ、悪戯していいよね、リーマス?」
「お、あ、そうだそうだ!お菓子くれなきゃいたずらしていいんだよな!」
急に元気になるシリウス。
正座をときピョコンと立った―――が、足がしびれていたためもう一度座り込まざるを得なくなる。
しかし、ジェームズはそんなシリウスのことを気にも留めずに杖を取り出す。
シリウスも内心『酷いぞ、ジェームズ!』と文句をいいつつ、ジェームズに習って杖をあげる。
リーマスは菓子を食べるのをやめ、不思議そうに二人を見つめる。
「あのね、最近習得したちょっとした悪戯用の呪い―――あ、もちろん解除魔法知ってるからね―――かけてあげるよ。用意はいいかい、パッドフット?」
「……ああ!あれか。よし、いつでもいいぞ、プロングズ」
二人は杖先をぴったりとリーマスに向ける。リーマスは動かない。
ジェームズが大きく息を吸った。
「じゃあ……いくよ、せーの!」
「「デューロウm―――」」
「プロテゴ」
呪文の最中、めんどくさそうにリーマスが言った。
その手には、いつの間にか杖が握られている。
呪詛は最後まで言われず、途中で尻すぼみに消える。
ゆっくりと立ち上がるリーマス。
プロテゴのバリア越しに、リーマスの口角がくいっとあがったのがシリウスとジェームズに見えた。
呪文を最後までいえなかった二人の背中を、冷たい汗が滴り落ちる。
「君たちさあ……」
ニコニコしながらリーマスが言う。
しかし、微笑みかけられているはずなのに二人は動けない。
「自分がなにしたかわかってる?」
杖をあげるリーマス。
その眼は、まったくもって笑っていない。
二人は、自分たちの愚かしさを呪った。
その後、二人がどうなったのかを知るものはいない。二人が語らなかったためだ。
ただ、顔面蒼白前後不覚になった二人が目撃されただけだった。
〜FIN〜