ふわりふわり。
□「ごめんなさい」
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目が覚めると銀色が広がっている。
気持ちいい揺れといつもの匂い。…ここはスク兄の背中?
みんな、何もしゃべらない。
みんな、暗い顔。
雪花が強ければこんな事にはならなかったよね。
アテネが出ることも、みんなに酷い事を言うこともなかった。
雪花のせい…
足を引っ張って、迷惑をかけて、酷いこと言って…本当にアテネの言った通り
ぜんぶ雪花の――「雪花は悪くねぇぞ」
「お前は何も悪くねぇ」
スク兄の言葉が嬉しかった。温かかった。
でも自分が悪いことは本当で泣きたくないのにじわりと涙が溢れてくる。
「今回の事は俺らが悪い。本当の事…言えばよかったなぁ…」
「…ッ…ちが…」
違うの。ごめんなさい。
雪花がただ怖くて聞けなかっただけなの。本当のことが怖くて、みんなが…怖くて。
どうしても血だまりに立つあの光景を思い出してしまって。
「…ごめんなさい…ッごめ、ん…なさい…」
スク兄の首に顔をうずめ、ずっと泣いた。
みんなは何も言わなかった。
⇒あとがき