屑籠


思い付いた話や誕生日ネタや小ネタを(・д・)ノ⌒●ポイッ

何でも詰め込むのでバッチコイ☆な寛大な方のみどうぞ


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◆亜久津はぴば 


「くっそ…めんどくさ!」

思い切り毒付きながら8割くらいのスピードを保ちながら人通りの少ない道を駆け抜けている。
地理なら私の方が詳しいはず。でも今日追いかけてきているのは高校生らしくなかなか振り切れない。いつもはうまくまいたり隠れたりしてやり過ごすのに…悔しいことに今回はそんな時間はなさそう。

「よっと、」

裏路地のいつものルートに入ってゴミ箱を蹴って転がす。ついでに木箱も崩す。すると高校生どもは引っかかってくれたらしく「うわ!?」という叫び声や転ぶ音が聞こえる。

ーーところで、何で私があんな奴らに追われているかというと、別に喧嘩したわけではなく。兄貴のせいだ。
私の兄貴は亜久津仁。
ここらでは高校生をもあしらえる最恐な不良として通っていて多くの恨みを買っている。兄貴に負けたヘボイ男共はない知識を絞ってアイツには適わないから身近にいるやつを襲って憂さ晴らししようという考えに辿り着いたらしい。妹である私にとってはただのとばっちりだ。

「お陰で足は速くなったけど…!」

平均より小さめな私はもちろん歩幅の違いで逃げるのには不利だったけど、まぁこれも慣れだ。


ーーーなんて、
余計なことを考えてたせいか。

「いだっ!」
「よし掛かったぞ!」
「くっそ…」

脇に隠れていた高校生に気付かず、足を引っ掛けられて派手に転倒した。

「さて、どうしようかな…」
「アイツ怒ると思うかぁ?」
「…兄貴は私が傷つくくらいで何とも思わないね」
「でも俺達の気は済む」

5人くらいの図体のデカい高校生がナイフやら鉄パイプやらを持ってニタニタと笑う。…とばっちりくらいのは慣れてるけど、それはさすがに痛そうだ。思わず苦笑して振り上げられた鉄パイプを堪えるように目をつぶった。


ガスッ!!

確かに鈍い音がしたが自分に痛みは一切なく、不思議に思って目を開けると鉄パイプを持った男は鼻血を流して大の字に倒れていた。

「……………兄貴?」

多分、殴ったのは目の前に立っている兄貴。
一瞬目があったかと思うと次には兄貴は動き出していた。右にいた奴が吹っ飛ぶ。正面にいた男がナイフを振るったがそれも簡単に避けられ腹を蹴られて転がる。…至極めんどくさそうに、気怠そうに高校生5人を数分で倒していた。

「兄貴、」
「……………」

一度だけ座り込んでる私を見下げて歩き出す。

「ちょ、兄貴!」
「…おい」
「な、なんだよ…」

「……帰るぞ」


思考が止まって固まっているともう一度低い声で「おい」と呼ばれ急いでその背中を追った。

**********

亜久津が愛しすぎて愛しすぎて…
でも短編であげる時間がなかったので妥協して屑籠で長めの^q^
なぜ需要がない!

2012/04/02(Mon) 10:23

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