あきらめない
□期
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……お葬式。
たくさんの妖怪(ひと)の来る前、私は一人、祭場にいた。
……棺は、まだ無い。
けど、私は見える。
遺体の姿が。
……あの時、私は……知っていた私は、何か出来たはずだ。
『………………ごめんなさい。』
守れた命が、ここにある…………護りたかった、笑顔を。
『ごめんなさい……っ』
知ってたのに、言えなくて。
数ヵ月。
たった数ヵ月。
去れど数ヵ月。
数ヵ月しかいなかった私に……何年も付き添っていた人や、何百年も付き添ってきた妖怪がいるのに……泣けない。
・ ・・ ・ ・・ ・・
泣いてはいけない。
泣いちゃダメなんだ。
私より悲しい人は、たくさん、たくさんいるのだから。
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