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□神楽とテツ兄ちゃん
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今日は休日の日。特にすることもなく、部屋でゴロゴロしている。少し小腹が空いてきたので、リビングに向かうとテーブルの上にお弁当が置いてあった。



「あれ、これテツ兄ちゃんのアル」


少し持ち上げてみると、重たいので中身は入っている。ということは、今部活に行っている兄が弁当を忘れたのか。

家には自分以外誰もおらず、私は仕方ないなぁと溜め息を吐く。


一応学校に行くということで帝光中の制服を着用して、兄のお弁当を手に学校へ向かった。








学校に着いて、第一体育館を目指す。兄はその第一体育館で練習をしているのだ。


「今練習中かナ〜…」


時計を確認してみると時刻は12時30分ちょうどだった。


恐る恐る体育館の重い扉を開けようと手を掛ける前に、ギィーと鈍い音を立てて扉が開いた。


「ったく、あっちー…って、あ?誰だ?」


出てきたのは身長が高いガングロ男。奴は目の前に居た私を見つけて目を丸くさせた。


「おい、お前黒子テツヤって知ってるアルか?」

「あん?何だテメェ。お前一年だろ。生意気な口きいてんじゃねぇよ」


このガングロ男は私の態度が気に食わなかったのか、私をギロリと睨み付けた。


「あぁん?背が高いからって調子乗ってんじゃねーヨ!いいから黒子テツヤ出せやコラァ!!」


私も負けじと睨み返す。すると、騒ぎを聞き付けた他の部員達がワラワラと集まってきた。


「どうしたんスか青峰っちー。って、あれ?この子一年で1番可愛いって言われてる子じゃないっスか!」

「はぁ?こんな貧乳がか?」

「誰が貧乳だァァ!!今から成長するアル!!」

ガングロ男の汗まみれになっている練習着を掴んで投げ飛ばそうとした時。



「神楽?どうしたんですか?」


「テツ兄ちゃん!!」


兄の声に反応して咄嗟にガングロ男の練習着を手離した。


「「「「テツ兄ちゃん!?」」」」


近くに居た人達が一斉に声を上げた。私は気にせず兄の胸に飛び込んだ。男らしい汗の匂いが鼻腔を擽る。


「イャァーー!!テ、テ、テ、テツ君が女の子に抱き着か、れ……」


私の視界にピンク髪の女の子が倒れて、それを支える緑頭の男が映った。


「お、おい!テツ!こいつ誰なんだよ!!」

「誰って、僕の妹ですけど…」

「「「「妹ォォォォォォ!?」」」」


全然似てねぇ

顔も性格も似てないっス


ボソボソとそんな声が聞こえてきて、私はそっと兄から身体を離した。


「さっきは失礼なこと言ってすいませんヨ(チッ、ガングロ男が!)」

「神楽は偉いですね」


ちゃんと謝ることができた私を兄がヨシヨシと撫でてくれた。


「ちょっと待てぇ!!ボソッと舌打ちしてガングロ男っつっただろ!!」


「おい、お前ら煩いぞ!早く昼食を取れ」


ギャーギャー騒いでいるガングロ男のせいで、赤髪の男に怒られた。


「そういえば、神楽どうしたんですか?」

「あ、テツ兄ちゃんにお弁当持ってきたアル!テーブルの上に忘れてたヨ」


はい、とお弁当を渡すと兄はニコリと微笑んだ。


「わざわざありがとうございます」

「いやいや、テツ兄ちゃんの為ならなんだってするアル!」


私も微笑み返した。

「可愛いっスね〜」

「なんか態度変わり過ぎじゃね?」


私はニコニコと笑みを浮かべたままガングロ男の方に顔を向けた。すると彼は顔を歪めて口元をひくつかせた。
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