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□神楽と真兄ちゃん
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とある休日。休日といっても両親は仕事のため家にはいない。ここ、緑間家のリビングでは、年子の兄妹である緑間真太郎と緑間神楽が居た。

神楽の方はソファに寝そべって大好きなピン子が出るドラマを観ており、真太郎は食事を行うテーブルの椅子に座ってまるでオヤジのように新聞を読んでいた。

これが休日の緑間家兄妹の姿である。



「あー、次週が待ち切れないネ」

神楽はピン子のドラマを最後まで観終わって、溜め息を吐いた。そして、ソファから のっそりと起き上がって未だに新聞を読んでいる兄を見つめる。


「真兄ちゃん、今日部活ないアルか?」


神楽の問い掛けに真太郎は新聞から顔をあげ、神楽を見つめ返した。

「今日は珍しく休みなのだよ。赤司がたまにはゆっくり休むことも必要だろうとか言い出してな」

新聞をゆっくり畳んで手に持つ真太郎。そんな兄の動作に片眉を上げる。

「征十郎先輩がそんなこと言うの珍しいアルな」


真太郎は新聞を片手に持ったまま神楽の隣りへと腰を掛けた。神楽の視線はさっきからずっと兄の左手にある新聞を捉えていた。


「そうか?でも言われてみれば、確かに人一倍厳しいあいつがそんなこと言うのはおかしいかもしれないのだよ」


「てか、もしかしなくても今日のラッキーアイテムって新聞アルか?」

「そうなのだよ。ちなみに神楽のラッキーアイテムは「いや、興味ないアル」…お前は人事を尽くしていないから頭が悪いのだよ」

「関係ねーヨ!」

「いいや、関係あるのだよ」

「ねーヨ」

「ふん、馬鹿め」


ムキーっと怒りながら神楽はソファを叩いた。神楽があたりにも強くソファを叩くもんだか、真太郎は焦って彼女を落ち着かせた。

漸く怒りがおさまった神楽にホッと一安心する。

「まったく…お前が暴れるといろいろ破壊されるから厄介なのだよ」

「何か言ったアルか」

「いや、何も」

あっそ、と言いながら神楽は冷蔵庫へと向かい ペットボトルに入ったジュースを飲んだ。

「真兄ちゃんも、ジュースいるアルか?」

「俺はいらない。コーヒーが飲みたいのだよ」

「…………作れってカ?」

返事を返さない真太郎に、仕方ないアルなぁと呟いて渋々コーヒーを作ってあげる。



「はいヨ」

「あぁ、ありがとう」


中学生のくせにコーヒーを好むなんて生意気な奴だ、と兄を若干蔑んだような目で見た神楽。

一方その兄というと、神楽の目など一切気にせずコーヒーを嗜んでいた。


「そういえば、むっくん先輩から電話があったヨ」

「いつだ?」

「昨日の夜。ミドチンいる〜?って聞かれたから、今トイレに籠ってうんこしてるヨって返したネ」

「おい!事実でももっとオブラートに包め!!明日紫原とどういう顔をして会えばいいか分からないのだよ…」

頭を抱えて項垂れる真太郎。そこまで悩まなくても、と可哀想な目で兄を見つめた神楽。

「むっくん先輩ならそこまで気にしなくても大丈夫ヨ。大輝先輩とかだったら一生ネタにされるだろうけどナ」

「まあ、それもそうか。青峰じゃなくて良かったのだよ。というか、紫原は何の用事だったんだ?


「大したことじゃないってヨ」

「そうか」

コーヒーカップに口をつけて、ゆっくりとカップを傾けた。

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