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□神楽と虹村
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「あー…この学校体育館いっぱいあってわかんないアル」
私は今同じクラスの赤司征十郎を探している。さっき第二体育館に行ったが、赤司は第一体育館にいると言われた。
そう言えば、今までバスケ部の連中とたくさん絡んできたけど部活しているところを見たことはなかった。
「まぁ私は見るより自分がする派だからナ〜」
見るだけなんてきっと退屈で寝てしまう。
「着いたアルー」
第一体育館に着いて分厚い扉を開ける
「あれ…?まだ部活始まってないアルか?」
生徒がまばらにいるものの、本格的な練習ではなくて各々好きなようにシュートしたり1on1したりなど自主練のようだ。
「あ?神楽?」
扉の前に突っ立っていると後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえたので振り返った。
「あー‼大ちゃん‼」
そこにいたのは青峰大輝だった。彼は一年生のときに同じクラスだった。
「おーなんか久しぶりな気ぃすんな」
「クラス離れてからあんま会わないからネ〜」
とは言っても定期的に昼ご飯を一緒に食べることもあれば一緒にサボることもあるのだ。
「てか何してんだ?こんなとこで」
「征十郎にノート返しにきたんだけど、いないアルか?」
征十郎から借りたノートを大ちゃんに見せて問う。
「さっきまでレギュラーだけのミーティングがあったからよ、もうすぐ来ると思う」
そう言って大ちゃんはさっき自分が来た方向に目を向けた。つられて私もそっちを見たら目当ての人が資料を見ながらこっちに歩いて来てた。
「おー本当アル」
「まぁな」
何故か誇らし気な大ちゃんを一瞥してまた征十郎を見る。
「征十郎ー」
資料をずっと見ながら歩いているからなのか私に気づかないので、頃合いを見て声を掛けた。
「ん?神楽か、どうした?」
声を掛けると資料から顔を上げて少し急いでこっちに来てくれた。
「お前にノート返しに来たんだとよ」
隣りにいた大ちゃんが代わりに言ったので私は頷いてノートを差し出す。
「わざわざすまない。ありがとう」
「いやいやお礼を言うのはこっちアル!ノートありがとネ!」
それから少しだけ分からない問題を征十郎に教えてもらっている(大ちゃんも強制的に教えられている)と聞いたことあるような声が私を呼んだ。
「神楽っちーーー‼」
「……ん?誰かに呼ばれた気がするネ」
「神楽っち‼」
「気のせいだな」
「気のせいだね」
「気のせいだったアル」
「ちょっと、酷いっスよ三人共‼」
さっきからキャンキャンうるさいこいつは黄瀬涼太。何故知り合いになったかは………忘れた。
「あれ?何でお前ここにいるアルか?」
「なんでって…バスケ部だからっスよ⁈」
「え⁈涼ちゃんバスケ部だったアルか⁈」
「こいつ最近入ったばっかだけどな」
大ちゃんが親指で涼ちゃんを指差しながらそう言った。
「っていうか神楽っち、2人と知り合いなんスね」
「まぁ俺は今と一年生の時に同じクラスだから。青峰は今は違うが一年生の時にクラスが一緒だったよ」
征十郎が丁寧に説明すると涼ちゃんは納得したみたいに、へーそうなんスかと呟いた。
「お前黄瀬と知り合いだったのか」
「なんで知り合ったかは覚えてないけどナ」
大ちゃんとヒソヒソ話していたらまた私を呼ぶ声が聞こえた。
「神楽ちーーん」
「むっくんんんん‼」
紫色の髪の毛をした長身の彼、紫原敦が手を振ってこっちに来たので、私も全力で手を振り返した。
「なんなんスか、この差」
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