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□三人の失恋者
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肌に感じる風が暖かくなってきたこの春。銀時、土方、高杉のイケメントリオまたの名を三馬鹿 は中堅学年である高校二年生へとなった。




三人は屋上から何の気なしにに校庭を眺める。




「そういや、多串くんの知り合いが今年入ってきたんだろ?」


「誰が多串だコラァァ!!……チッ、…あいつ坂本のクラスらしい」


「沖田総悟、だっけかァ?イケメンって噂の」

「いいのは顔だけだ。性格はクソ悪ィ」



過去に自分が受けた嫌がらせを思い出していると、自然と遠い目になっていた土方。



「へ〜でも沖田くんって一年の中では断トツにカッコ良いらしよな。彼女いねぇのかよ」


「さぁな。総悟とそういう話はしねぇ。あぁ、でも噂で聞いたんだが クラスにめっちゃ可愛い子が居て、そいつを狙ってやがるらしい」


「あ〜坂本のクラスでめっちゃ可愛い子いるらしいな」




土方と銀時が"坂本のクラスのめっちゃ可愛い子"の話題で盛り上がっている中、高杉はその話を黙って聞いていた。その表情は苦虫を噛みつぶしたような顔をしていた。



「高杉、お前松平のおっちゃんに呼び出し受けてなかったっけ?」



銀時が思い出したように、高杉にそう問い掛ける。


「あ、、、」

「あのおっさんの呼び出しにゃ、ちゃんと行っといた方がいいぜ。あの人うるせぇから」


煙草にマヨライターで火をつけ、煙を吹かしながら土方がそう言った。高杉は チッと舌打ちをしてポケットに手を突っ込んで面倒くさそうに歩き出した。





高杉が屋上から出て暫くすると、学校のチャイムが鳴り響いた。




「これ何のチャイム?」

「三時間目の終わりのチャイムだ」


「まだそんぐらいかーー。早く昼になんねぇかな〜。食堂のパフェ食いてぇな」


「いい加減甘味食うのやめねぇと糖尿病になるぞお前」


「お前に言われたかねぇわ!!マヨラーが!!」



互いに睨み合っていると、屋上への階段を駆け上がってくる音が聞こえた。その音で2人は睨み合いを止めて、2人で頭に疑問符を浮かべた。その音の主は高杉ではない。なんせあいつは階段を駆け上がる、なんてことをしないからだ。



2人が屋上の扉を凝視していると、バンッという音と共に扉が開かれた。そこに居たのは、橙ピンクの髪の毛に青色の澄んだ瞳を持つ なんとも可愛らしい女の子。しかし、表情は笑い顔ではなく、どうも焦っているように感じられた。





その女の子は銀時と土方のもとへ走って来て、座っている銀時の背後へと周り 銀時の背中に隠れるようにしゃがんだ。訳がわからないその行動に、銀時も土方も困惑する。




するとその女の子が唇に人差し指をあてて「シーッ。ちょっと匿まって欲しいアル」と言った。その時、またもや階段を駆け上がる音が聞こえて、バンッと屋上の扉が開かれた。



「チャイナァァァアアあああ土方コノヤローォォ!」


「総悟てんめっ!誰が土方コノヤローだコラァァ!!」



やって来たのはさっき話に上がっていた沖田総悟。


「へ〜あれが沖田くん?確かにイケメンだね」


「つーか、あれ?ここにチャイナ来やせんでしたか?」


「誰だ?チャイナって」


「髪が橙色っぽい感じで目が青の」


沖田がそう説明すると、銀時の背後に居た女の子が銀時の背中の制服をぎゅっと握り締めた。ドクッと心臓が高鳴った音が聞こえた銀時。




「知らねぇな。誰も来てねぇぞ」


土方が上手く誤魔化すと、沖田は不思議そうな顔をしながら屋上から出て行った。



「はぁー…ありがとアル。2人共。あ、先輩、デスカ?」



「あ、いや、敬語はいらねぇよ。面倒だろ」

銀時がそう言うと女の子はニッコリと微笑んだ。そして、女の子が銀時の背後から出て来て2人と向き合う。改めて女の子の顔をまじまじと見る。



((可愛いな))





「私神楽アル!1年B組の!」


「坂本のクラスか。なんか総悟が悪かったな。俺、あいつと知り合いの土方十四郎だ」

「俺ァ坂田銀時」

「そうだ!あの沖田とかいうサド野郎どうにかして欲しいアル!!毎日付き纏われて迷惑ネ!!」




頬を膨らます神楽に、土方と銀時は もしやこの子が噂の可愛い子か! と若干テンションが上がった。


是非神楽とお近付きになりたいと思った2人は色々神楽に話掛けて、すっかり仲良くなった。




「じゃあ、またネ!銀ちゃん、トッシー」



手を振って去って行く神楽は、やはり可愛かった。




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