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□まさか…
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*りん様リクエスト
銀魂高校に入学して三ヶ月が経った。友達もたくさん出来たし、眼鏡の下僕も出来た。
「誰が眼鏡の下僕だァァァ!!」
「うっせェヨ新八。私のナレーションに入ってくんじゃねーヨ」
キャンキャン騒ぐ新八。煩いし臭い。
「泣いてもいいかな?」
そんなこんなで私は立派な女子高生生活を満喫しているのだ。
今は眼鏡の下僕と昼ご飯を食べている。こいつは友達がいない可哀想な奴だから、心優しい神楽様が一緒に食べてあげているのだ。
「友達ぐらいいるわァァァ!!」
「新八煩いネ。ちょっとトイレ行ってくるアル」
「あ、はい。いってらっしゃい」
ご飯を食べ終えた私は用を足すために、トイレへと向かう。昼休みだからか、廊下は人で溢れていた。
人ゴミを避けながらトイレへと向かっいると、いきなりモーゼの十戒のごとく道が開けた。
「ん?何アルかこれ」
周りの生徒達は顔を青ざめている。そんな中、ポツンと生徒が退けた廊下に突っ立っていると、「おい」と後ろから声を掛けられた。
「何アルか」
折角スイスイとトイレに行けると思っていたのに。不機嫌になりながら後ろを振り返る。
そこには左目に眼帯を付けたガラの悪い男。上靴を見るからに一個上の先輩だ。
「どけ」
私のことを睨みつけるこの男。なんて偉そうなんだ。年が私より一個上なだけだろうが。
「なんでデスカ?私今からトイレ行くアル。年上だからって調子乗んじゃねぇヨ」
そう言い放った瞬間、その場の空気が固まった。眼帯先輩は先程よりも目を吊り上げて私を睨む。殴るなら殴ってみろ。返り討ちにしてやる。
「てめェ名前は?」
「? 神楽アル。もういいアルか?私トイレ行くって言ったダロ」
踵を返してさっさとトイレに向かう。結局、眼帯先輩は何も言ってこなかった。
そんなことがあったのも忘れ掛けていた頃。
私は兄ちゃんと2人でファミレスに来ていた。夜ご飯を食べにだ。珍しいことに兄ちゃんが奢ってくれるらしい。
「何食べようか」
「取り敢えず、このページ全部食べたいアル」
「おっけー。すいませーーん!このページの料理全部2つずつお願いしまーす」
注文を聞きにきた店員が一瞬フリーズした。そして聞き間違えじゃないか、もう一度注文を確認した。
「二回も言わせるの?」
ニコニコの笑みで兄ちゃんが凄むと店員は顔を真っ青にして「すぐにお持ちしますっ」と去って行った。
カランコロンと店の扉が開く音がする。兄ちゃんがチラリとそちらを見たのが視界に入った。
「あれ?高杉じゃん。おーい」
目を丸くして兄ちゃんが手を振る。私はそんな兄の様子をお冷を飲みながら眺めていた。
高杉って誰だろ
「あァ?神威かよ」
スタスタと兄ちゃんの知り合いと思われる奴が此方にやって来る音がする。
「やっほー。今から妹とご飯食べるとこなんだ」
私は挨拶でもしてやろうと、そいつの顔を見る。
あれ?こいつ…
「眼帯先輩アル」
「てめェ…神威の妹だったのか。道理で図太い神経してやがると思った」
「何、知り合い?じゃあ高杉も一緒に食べようよ」
殆ど無理矢理 兄ちゃんがそいつを引っ張って自分の隣に座らせた。
「で?何処で知り合ったの?同じ学校だっけ?」
兄ちゃんに高杉とかいう奴と対面した時のことを話した。
「さすが俺の妹。やるね〜」
「俺にあんな態度取った奴お前が初めてだ」
「お前の初めて奪ったアル」
「神楽、その言い方なんか卑猥だよ」
そして兄と私と高杉でご飯を食べてから数ヶ月経った今。
「高杉〜今日一緒に帰ろうヨ」
「んあ?いいけどよォ」
屋上に寝っ転がって ふぁ〜と欠伸をする高杉。
「けどって何ヨ」
曖昧な言い方が気に入らなくて、今にも眠りそうな高杉の顔を覗き込む。
「いや、いいぜ。今日俺んち来るかァ?」
「うん。兄ちゃんが今日帰ってこないから、高杉の家に世話になるアル」
そう言うと、高杉がフッと笑って私の頭を撫でた。
私は彼のこの手が好き。
まさか私と高杉が付き合うことになるなんて。あの頃は全く予想ができなかった。
*end*