助けながら踊る
□悲しみはごみ箱へ
4ページ/5ページ
「微妙に髪を切った時も、風邪を引いてたのに学校に来ていた時も、腹痛を起こして我慢をしていた時も…」
最後のやつ、若干気付いてないですよ、藤崎君。
「あの隣のクラスの野郎に惚れてた時も気付いてた…」
「だか、ら、嫌がってたのですね」
「ああ」
最初、この相談を持ち掛けた時、彼は「ヒメに聞いとけ」と言い、ものすごく嫌な顔をされた。が、暫くしてはっと我に帰ったようになって、あれやこれといつもの笑顔で私を励まし、背中を押した。
「好きだったもん。俺のが好きだったんだもん…」
急にシュンとなり、床に体育座りをして、のの字を書きはじめた。
「好き、ずっと好き。俺、あの野郎があれを見て、捨て去った時さ…拾ったんだよ。手紙」
「え?」
それはかなり驚く事だった。
もう捨てられ、今頃燃やされていると考えていたからだ。
「イラつくんだよ。好きな人の想いを、無駄にされるの…」
そして、暫く沈黙が訪れる。それは私から思い浮かぶ言葉はなく、藤崎君も黙ってしまったから。
暫くして、何かを決心した藤崎君が、私を直視して言う。