SKET DANCE BOOK

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数分後、何も知らない京介が帰ってくると玄関と廊下には血痕があり、京介は目を丸くして荷物を置くとあたしを探しに飛び出した。










あたしの意識は朦朧としてきた。今でも血は滴っている。



『はぁ………はぁ………』


寒い冬、軽い格好であたしは母が亡くなった道路に向い辿り着くとそこで車が来るのを待て呟いた。


『京介………お姉ちゃん……もう、限界だよ―――』


するとライトもなにも付けていない車が4年前の様に勢いよく走って来た。



『――………これで……逝ける…』




鈍い音とブレーキの音が響いた。









なんだろ、こんなに痛くないものなんだな。あたしはそう思ったのも束の間。あたしは轢かれてなんていなかった。



代わりにあたしを追いかけて探しに来てくれた、唯一の味方だった京介が車に轢かれ倒れていた。



『!!……京介?……』


あたしは京介の元に駆け寄る。少し朦朧としながらも口を開いた。


「馬鹿じゃねー…の?……姉貴が死んだら……く……ッ」


『京介………ッ』


「最期に俺から………」


『馬鹿のこと言わないでよ…。京介が死んだら…あたし……ッ』


血だらけの手であたしの頬に触れる。


「佐介兄ちゃんだって…いるだろうが……まあ、とに…かく……明るく元気に笑って生きろッ……死ぬなんて考えるな……いいな……俺はいつでも姉貴の“味方”だ――」



そう言うと京介は目を閉じてあたしに触れてた手も力が抜け無残に落ちた。



『嫌だよ……アンタが死ぬことない……お願い……死なないでよッ』



あたしは声が枯れるまで京介の名を呼んだが、京介は目を覚ます事はなかった。







京介の葬式では沢山の人が訪れ、彼の死を惜しんだ。佐介の両親も来てくれて一緒に涙を流してくれた。






あたしの手首に残ったリスカの痕を弟が使っていたリストバンドで隠すことにした。
それから、あたしと父は今まで住んでいた家を売り払い荷物をまとめて家を出て行った。



安い家賃のボロ住宅に2人で住むことになった。



『………………』


「お前は何人殺せば気が済むんだ―――」


怒りの口調ではなく、冷静な口調だった。


「大切な人を俺から奪って……よく平気で生きてられるよな」


『……………』


あたしは何を言っていいのか分からない。



********



4月、入学式。父は当然来る事はなかった。
そんな日、あたしは学校が終わり帰り着き、玄関を開けると目を疑った。


『!!………ッ』



静かな部屋で父が首を吊って死んでいたのだ。あたしは力が抜け座り込んだ。



『うそ………ッ』


父の下には手紙のようなものがあり、あたしはそれを開き読んだ。


【――――――――すまん】


たったその文字で全ての事が理解できた。












あたしが家族全員を―――殺したんだ。






2012.05.30

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