物語

□悪魔の契約
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第二話


泣きたくなった…。あんなに大好きだったジェラールが自分の目の前に現れるなんて…。
ー ジェラール ー

私は、裁判中にナツが暴れた事により、裁判は無効となった。

〈楽園の塔〉
「ジェラール…どうして…。」
エルザは泣いていた。
嗚呼、一番傷付けたく無かった、泣かせたく無かった大切な人を…俺が泣かせてる…。
「あの女を生け贄に…。」
嫌だ…やめろ…そんな事したくない!!
ー エルザ、逃げろ! ー

「ジェラールー!!」
両手に炎を灯したナツが俺を目指して走って来る。
ナツ…確かエルザと同じ…。
ー アリガトウ ナツ ー

楽園の塔の事から何時間経ったろう…私はナツと共に海岸へ流れ着いていた。
ジェラールの声がした気がした…。
「ゴメンナ…エルザ。愛してる。」
私も同じ気持ちなのに…ジェラールだけ…ズルイョ。
ー ジェラール ー

暗い暗い闇の中
ークライ クライ ヤミノナカー
俺は死んだのか?
目を開ける事も体を動かす事も出来ない…。
でも、声が聞こえるんだ…。
「ジェラール…貴様は我の大事な道具。」
恐ろしい話…この男は毎日俺の所に来ては恐ろしい笑い声をたてて行く。
俺はまた人を傷付けるのか?

「ジェラール…。」
いつもとは違う声がする…。
声からして…青年くらいだろうか…。
「ミッドナイト!」
あの声だ…。
そして青年の名前は“ミッドナイト”と言うらしい。
俺はそんな考えの後、二人の会話を聞いていた…。

あれから何日経ったろう…ミッドナイトと言う青年は姿を見せなくなった…。

“カッカッ”
誰か来る…あの男か?
「ジェ…ラァル…。」
愛しい人の声がした。
震えた声で何度も、何度も…俺の名を呼んで…。
そして呪文が聞こえた。

何だろう、とても温かい…そして俺は目を開ける。 「 !!!」
目を開けると、そこには美しい緋色の髪…そして大人びた印象を持つ愛しい人の顔があった。
「エ…ルザ…?」
彼女の肩が“ビクッ”と跳ねる。
そして彼女は俺を見つめて涙をこぼす…。
「ジェラール!!」
俺の名を呼んで泣いた…。
俺は彼女に言わなければいけない事があった。

《 続く》
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