物語

□騎士の誓い
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第一話



「ギャァァァァ!!」
「ウワァァァァ!」
小さな村に悲鳴が響き渡る。




「キャァァァァ!!」
少女は刃で左目を切られ 大量の血を流す。
少女の名は妖〈アヤ〉
黄金のような色の美しい髪。
そして清んだ瑠璃色の瞳。
妖は普通の魔導士とは何か違う空気をまとっている。
まるで神の様な清らかな空気を…。

そんな美しい顔が、血で汚れ、苦痛に歪んでいる…。
妖は、何故襲われたのか…全く解らなかった。

それは数時間前。
妖は一人でこの小さな村〈黒龍村〉に住む知り合いの家に来ていた。
知り合いは、妖を拾い此処まで育て上げてくれた、妖にとって親の様な存在なのだ。

〈黒龍村〉は、森深くに存在するため、普段、盗賊などに襲われる事は無い…。しかし、今襲われているのは事実だ。

「死ね、娘!」
妖は両親に力を封印されていたため、魔法が使えなかった。
男が妖に向けて刀を降り下ろす!!
「っ!!」
妖が“もう終わりだっ!!”と思った瞬間、男の悲鳴が村いっぱいに響き渡る。
「ギャァァァァ!!」
妖が顔をあげると、男の胸から刀が突き出ていた。
“ドサッ”
男は、刀が抜かれると同時に後ろに倒れる。
そして男が倒れると、妖の目の前に青年の姿が現れた。

何故だろうか…妖と青年は見つめ合う。
お互い、何かに惹かれあったかの様に…。

少しして、青年は首を傾げ、妖に不思議そうに問うた。
「僕が恐くないの?」
返り血で赤く染まった、美しい顔…正直、恐い。
でも、妖は思った。
“心が寂しがっている”と…。
何故だかは解らない…しかし妖はそう思った。
青年は、少し考える素振りを見せると、手を差し伸べた。
「僕と一緒に来る?」
妖は、最初は驚いたものの直ぐ我に返り、青年の手を取った。

《続く》
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