捧げ夢

□僕が君の手を握り返したのは
1ページ/6ページ

「みーどーりーたなーびくーなーみーもーりーのー…。」



暖かくなった風が吹き抜ける中、開けた屋上に甲高い鳥の声が響いていた。

外れた音のそれを聞き流しながら目を閉じ、寝そべって昼寝の時間。

五月蝿い群れがほとんど居ない、雲雀のお気に入りの場所だった。

風に揺れる髪が額を擽るのを感じながら微睡んでいると、ふ、と甲高い声が止んだ。

それと入れ替わりに聞こえたドアの開く音と気配に、彼の瞼がぴくりと動く。

誰だなんて考えるまでもない。ずっと昔から一緒に居たのだから。


(ほら、)


「また来たの?」

「うん!」



目を開けた僕の視界に、しゃがんで見下ろしてくる彼女の姿が映った。








家が近く両親同士が仲良かった事もあり、僕と彼女は物心つく前から一緒に居た。

つまり、幼馴染。

兄妹の様に育ってきた。

だけど、僕は少し違和感を感じていたんだ。
それは例えば、



「…今日ね、ツナ君と獄寺君が…。」


そう、こんな時とか。


「草食動物の話は要らないよ。」


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ