捧げ夢
□僕が君の手を握り返したのは
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「みーどーりーたなーびくーなーみーもーりーのー…。」
暖かくなった風が吹き抜ける中、開けた屋上に甲高い鳥の声が響いていた。
外れた音のそれを聞き流しながら目を閉じ、寝そべって昼寝の時間。
五月蝿い群れがほとんど居ない、雲雀のお気に入りの場所だった。
風に揺れる髪が額を擽るのを感じながら微睡んでいると、ふ、と甲高い声が止んだ。
それと入れ替わりに聞こえたドアの開く音と気配に、彼の瞼がぴくりと動く。
誰だなんて考えるまでもない。ずっと昔から一緒に居たのだから。
(ほら、)
「また来たの?」
「うん!」
目を開けた僕の視界に、しゃがんで見下ろしてくる彼女の姿が映った。
家が近く両親同士が仲良かった事もあり、僕と彼女は物心つく前から一緒に居た。
つまり、幼馴染。
兄妹の様に育ってきた。
だけど、僕は少し違和感を感じていたんだ。
それは例えば、
「…今日ね、ツナ君と獄寺君が…。」
そう、こんな時とか。
「草食動物の話は要らないよ。」
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