REBORN短編夢

□君に永遠を誓おう
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冬。
もうすぐ、冬が来る。





「さぶっ…。」



吐く息が白く広がるのを見て、私はまた身体を奮わせた。


(もうすぐ、受験、だぁ…。)


毎日毎日勉強尽くしで気が滅入りそうな中、それでも毎年同じように冬はやってくる。
こちらの心境なんて知らん振り。


(あの人、はまた委員会かな…。)


中学生の時からずっと一緒だった雲雀さん。
憧れから恋に変わって、恋人になってから数年が過ぎた。
けれど、未だに彼の志望校は教えてもらえていない。



(「君は君の好きな大学に行けばいい」、なんて。)


私の一番行きたい大学が…いや、行きたいところが何処かなんて、彼は知らないんだろう。


「っは…。」


部活に勤しむ生徒達ももう帰り始めているのを見て、私はマフラーをもう一度巻きなおした。
帰ったらまた続きをやらなければ。



(恭弥、のレベルに合わせられる自信は無いけど…。)



とりあえず、やれるだけやろうと思ってる。
冷たい風の通り抜ける道を抜けて、ふ、と私は小さな公園を見つけた。


(…少し、寄っていこうかな。)


その冷たいベンチに座って、一息。手提げから単語帳を取り出した。
けれども先程思い出した雲雀さんのことがずっと頭によぎって単語は頭を通り抜けて消えていってしまった。



(…はぁ。)


今日は、無理そうだ。
そんな甘えたことを言える状況ではないのに、私は単語帳を閉じ、青白い空を見上げようとした。











「やぁ。」




私の上に影を落とすその人は、


私が今一番会いたい人だった。







「き、ょう、や?」



見回りで遅くなるのではなかったのか。
そんな私の疑問を他所に彼はベンチの背に手をつき、私の顔を後ろから覗き込んだ。

しばらく感じられていなかった大好きな彼の匂いが私を包んでくれる。



「見回り終わったと思ったら丁度見つけてね。」


(…嘘付き。)


こんな時間に見回りが終わるわけがないのに。
一緒に過ごした数年間で、何となくわかるようになった、彼の言い訳に、私はくすりと笑った。



「そっか、ありがとね。」

「…別に。」



ぷい、と顔を逸らす仕草が可愛くてまた笑ってしまう。



こういう時間が一番好き。



いつの間にか身体を襲っていた寒さは暖かさに変わっていた。
それが、ふと彼が表情を変えたのにまた襲ってきた。





「…そろそろ君にも教えるよ。」

「…何を?」




どくん、と心臓が波打つ。

彼は青い冬の空を背に、私の頬をひんやりとした両手で包み込んだ。








「僕は、イタリアに行く。」

「…な、」



国外?
彼が後ろに居なかったら私はそのままふらっと倒れていたかもしれない。



(まさか、国外だなんて。)



そう思いながら、ああ、と納得している自分も居た。




(きっとこの人にとってこの日本という国は狭すぎるのかもしれない)



私は渦巻く感情を押し殺して、頬にある彼の手に自分の手を重ねた。



「そ、っか…、恭弥なら何処に行っても大丈夫だよ。…気をつけてね。」

「何言ってるの?」



ぐい、と引き寄せられた身体。
それは当然ながらベンチの背中に当たって、そして彼の腕の中に閉じ込められた。






「言っておくけど、僕は手に入れたものは絶対手放さない主義なんだ。」

「それって…。」




耳元で響く低く心地よい声が私に囁いてくれた。









「だから―――君も来てもらうよ。僕と一緒に。」







絶対に後悔はさせないから。

ずっと僕の隣に居て。










何よりも欲しかった彼の言葉に、私の目から雫が一つ落ちた。










「返事は?」

「はいっ…!!」




振り返って見えた澄んで見えた空に、小さな浮雲が二つ、浮かんでいた。










あなたと一緒なら、

(世界が輝き色づいて見えるの。)










うわあああああREBORNお疲れ様!
ずっとずっと大好きです!



雲雀さん一億と二千年後も愛してる!



2012,11.12
 

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