PEACE-ALL WISH-
□序章
2ページ/7ページ
雨上がりの午後―――
アスファルトの匂いが鼻につく。
一人の少女が、まだ雨雲が残る空を見上げていた。
「レーーーン!!」
そんな彼女を見上げて、また別の少女が叫んでいる。
「はやまらないでーー!!」
空を見上げていた少女・レンはふと我に返った。
「動いちゃダメぇーーっ!!!」
レンが微かに動いたのをどう捉えたのか。
見上げていた少女・ハスミが再び叫んだ。
状況はこうだ。
気分が優れないレンは授業を抜け出し、学校の屋上で雨上がりの空を見上げていた。
一方のハスミは、放課後になっても戻らないレンを探し回り、校庭から屋上にいる彼女を見つけた。
遠くから見つけたせいか、ハスミはそんなレンの状況を悪い方向へと解釈してしまったのだ。