PEACE-ALL WISH-
□第一章
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自宅へと足を速めた。
相変わらずウザい街だ。
助け船を出すとかなんとか、綺麗事ばっか並べたチラシがあちこちに貼ってある。
そんなこと、本心じゃ思ってないくせに。
チラシ貼りの職員だって、溜め息吐きながら貼ってるし。
偽善で成り立っているんだ、この世界は。
そう思いながら歩いていたら、一人の少年が目の端に映った。
人目を惹く綺麗な銀髪に、淡いグレーの瞳が印象的だ。
少年は辺りを見回し、必死に何かを捜しているようだ。
何をそんなに必死になっているんだか。
この世の中、そんなに必死になったって、願いは叶いやしない。
――グウゥ〜・・・・
こんなことを考えてる場合じゃなかった。
まずは腹の虫をなんとかしなくちゃいけない。
ふと振り返ってみれば、先程まで少年がいた場所には誰もいなかった。
・・・気にすることはない。
ただの通行人だ。
必死になっている奴を久しぶりに見たせいだ。
こんなに気になるは。
妙な胸騒ぎを覚えながらも、自宅へと歩みを再開させた。