よみもの
□それでも、好き。
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タタタタタ・・・
「若ーー!御夕飯のしたく出来ましたよーー!」
部屋に声をかけてみるが、返事が返ってこない。
??ご自分の部屋にいない・・・?となるとあの方はいつも・・・。
タタタタタ・・・
「やっぱり、ここだ・・・。」
つららの視界に入っているのは、奴良家の大きな桜の木に座っている銀髪の長い髪の少年。
「リク・・・−−。」
わたしは、しゃべるのを止めた。
彼の、横顔が哀しく空を見上げていたからだ。
理由は、分かっている。
家長カナだ。
家長カナのことで、頭がいっぱいなんだ。
ズキン・・・
なんで?なんでわたしじゃないの?
家長よりも、わたしは一緒にいた。
戦いから普段まで、一番近くにいたのに・・・。
心は、家長のほうが近くにいたっていうの・・・?
「・・・つらら?」
「はっ・・・はい!?」
あわてて返事をしたら、声がひっくり返ってしまった。
うぅ・・・。はずかしい・・・。
「おめぇは、おっちょこちょいだな・・・。
で、何のようだ?」
「あっ・・・!そうだ!御夕飯のしたくが出来ました。」
「そうか。分かった・・・先行っててくれ。」
そして、貴方はまた空を見上げるんだ。