駄文

□フーキーズ 原因と現在
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薄く紫がかった、さらさらと風になびく綺麗な白い髪。
陽の光を反射して宝石のように輝く、翠色の瞳。

初めて会った時、なんて綺麗で可愛い女の子だろうと思った。

「はじめまして!おれ、ここにひっこしてきた、なりたへいはちろうっていうねん!」

・・・・・・男だった。
俺の初恋は淡くも崩れ去った。

小学校の入学式を間近に迎えた、ある日。
俺の家の隣に大きくて綺麗な家が建って、ひとつの家族が引っ越してきた。
業者が荷物を運び込んでいる様を俺の家の前から眺めていたら、その家から俺と同じくらいの子供が一人出てきた。
その子供は俺に気付くと笑顔で俺の方へ駆け寄ってきた。
その、ちょっと日本人離れした綺麗な笑顔に、俺は思わず赤面して動悸を早くした。
しかし、その自己紹介の言葉に俺は深く落胆した。
それには気付かず、なりたへいはちろうは笑顔で言葉を続ける。
「きみはなんてなまえなん?ここんちのこ?」
「・・・俺、藤木和馬。お前、変な喋り方だな」
「え?!なんかへん?!いままでそんなんいわれたことないけど・・・!!」
これのどこが変じゃないのかと、俺の指摘に慌てふためる、なりたへいはちろう。
しかし、この喋り方はどこかで聞いたことがある・・・そうだ、テレビのお笑い芸人がこんな喋り方だった。
「お前、もしかして関西からきたのか?」
「かんさい?」
「大阪とかその辺りの地方の事だよ」
「うんっおれ、おおさかからひっこしてきてん!かずまくんはもしかして、すごいものしりなんか?!」
「俺は天才だからな!関西弁くらい知ってるぜ!でも、こっちじゃそんな喋り方しねぇからあんまり話さない方がいいぞ。バカばっかりだから苛められちまうかもしれねぇし」
訛りのある転校生と言うのは苛めの対象になりかねないときもある。
特に小学生なんてバカばかりだから気をつけねぇと。
俺の言葉になりたへいはちろうは怖がって涙目になっている。
「こわいひと、おおいんやな・・・おれ、あんまりしゃべらんようにする・・・」
「大丈夫だって!俺が守ってやるよ!」
「ほんまか?!ありがとうかずまくん!かずまくんはやさしいんやな!!」
先程とは打って変わって、輝かんばかりの笑顔を見せる。
ころころと変わる表情に崩れ去ったはずの俺の恋心が密かに反応した。
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