どこ

□中身までは取り繕えない
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茶髪の少年は訝しげな目で見てくるので何となく話しにくく、銀髪の少年は何故か敵意むき出しで話にならない。
銀時は困り果てていた。
どうしたら自分が怪しくないと信じてもらうことが出来るのだろうかと考える。……が、そう簡単にいい案が出てくるわけまない。
銀時は、困り果てていた。

「まぁ、いいんじゃねぇの。何かおもしれーし」

そんな困り果てている銀時に救いの手を差し伸べたのは、何と今まで沈黙を守っていた黒髪の少年であった。
すがるような思いで銀時がその少年を見れば、ニッコリと爽やかな笑顔をして、彼も銀時を見ていた。

「テメ、野球バカ! いいわけねぇだろ、コイツは十代目に失礼なことを……」
「おもしれー奴に悪い奴はいねぇよ。なっ、ツナ!」

銀髪の少年に反論されても尚、笑みを崩さずに、黒髪の少年は茶髪の少年……ツナこと沢田綱吉に同意を求めた。
同意を求められた綱吉は、ええと、と目を泳がせる。
明らかに困惑しているようであった。
銀時はそんな綱吉に念を送る。

(うんって言え! 言えェ! 言ってくださいィィ!)

銀時は少年達の数回のやり取りで、綱吉が中心であることを見破っていた。
十代目とか呼ばれていたし、銀髪の少年はあからさまに態度を変えているし。
故に、綱吉が頷けばもれなく銀髪の少年の同意を得られると思ったのである。

だがしかし、現実はそう甘くない。

綱吉が答えを出そうと口を開こうとして、銀時が固唾を飲んだ、その時だった。

「見付けた」

ガラリと勢いよく開いた扉。そして、聞いたことのある声……。
綱吉の顔色が一気に悪くなる。
同様に銀時も顔を青くさせながら、ゆっくりと、それはもうゆっくりと振り向いた。

そこにいたのはもちろん……。

「ひっ! 雲雀さん!?」

トンファーを振り回す猟奇的な少年――雲雀恭弥であった。

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