どこ

□中身までは取り繕えない
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沈黙が流れる。
冷静になった銀時は、勢いで飛び込んでしまったことを後悔した。
その場のノリで行動すると痛い目を見ることは何度も経験しているので分かっているはずなのに、またやってしまった。
とりあえずここは、自分は怪しい者ではないことを、目の前の三人の少年に言うのが先決だろう。
見た目では、茶髪の少年が話が通じそうだ。銀時は茶髪の少年の目をしっかりと見つめながら、口を開いた。

「怪しい者じゃありません!」
「えっ、……えーと」

少年が困惑する。
当然だ。銀時は、どう見てもかなり怪しい。
見た目も、先程の行動も。
それは銀時も分かっている。なので更に弁解しようと口を開……こうとした。

「十代目を困らせてんじゃねぇ!!」

銀時が口を開くより早く、銀髪の少年が口を開いた。
十代目、というのは、恐らく茶髪の少年のことだろう。

「別に困らせてるつもりはありませーん。事実を訴えかけてるだけですぅ」
「それが困らせてるっつーんだよ!」

銀髪の少年のもっともな言い分にも耳を貸さず、銀時は困惑気味の茶髪の少年を見つめる。
死んだ魚のようだと揶揄される目は、いかに真剣であるかを伝えるために爛々としていた。
……が、普段の銀時を知らない少年達には、いくら目を爛々とさせようが意味はない。

「えーと……まず、あなたは誰なんですか?」

茶髪の少年が、怪しげな者を見るような目をしながら聞く。
ああ、と、銀時は神妙な面持ちで頷いた。これも、真剣に見せるためである。

「坂田銀時でーす。万事屋をしていまーす。歳は秘密でーす」

……いかに見かけだけは真剣であるかのように装っても、中身までそうならないと意味はなかった。
茶髪の少年が“こいつは怪しい者だ”と認定したような顔を見ながら、銀時は深く反省した。

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