どこ

□会話はキャッチボールだ
1ページ/3ページ

異世界トリップ、どたばたコメディ! なんていうのは、漫画やドラマなんかでよく見る話だ。
そういう設定はフィクションだからこそ楽しめるのだと、銀時は思う。
実際に、自分がその状況に置かれてみれば、混乱と困惑、そして恐怖の連続である。
フィクションの世界のように、素敵な異性と出会って恋に落ちる……なんて甘酸っぱい展開など、夢のまた夢なのだ。

「何でだァァァ!!」

頭を抱えていた銀時は、勢いよく顔を上げた。
どれくらいの勢いかというと、壁にもたれかかっていた雲雀がビクンと肩を揺らす程度の勢いである。

銀時は嘆いた。
同じトリップだというのに、あまりにも漫画やドラマと違いすぎる。
残念だが、これがフィクションとノンフィクションとの差だ。

……じゃなくて。

「何でトリップしちゃってんの!?」

トリップしてしまったであろう原因は思い出したが、根本的な疑問はまだ解決していない。
なぜ、トリップをしてしまったのか。
しかも、危険な人物(雲雀やリボーン)がたくさんいる世界に。

「何でだウゴッ!!」
「うるせーぞ」

また銀時が「何でだ」と叫ぼうとすると、リボーンが顎に頭突きをして黙らせた。
余りの痛さに椅子から転げ落ちて悶絶する銀時の横に立ち、リボーンは感情の読み取れない目で銀時を見下ろす。

「俺達にも伝わるように説明しろ。俺はそこまで気が長くねぇぞ」
「うぅ……」

顎の痛みに悶えながらも、銀時は、この世界に来てから何度も何度も思ったことをまた、思った。

理不尽だ、と。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ