キャプテン=赤
□第18話
1ﾍﾟｰｼﾞ/3ﾍﾟｰｼﾞ
「シズ？」
目の前で、ひらひらと手を振る最愛の人
彼は…今こんな風に私の前で笑ったりしない
夢か何かだろう
そう思って頬を叩いてみると
なんだか痛い
「馬鹿だな、シズは」
軽快に笑う
「馬鹿じゃないってば」
つられて笑う
「今ね、ユウが目の前にいて笑ってるから
夢だと思ったの」
笑う。
心の傷が癒えるような
「夢？」
ニコニコと笑いながらユウはシズを見つめる
「私、ユウと別れてその後ショックで…
その後……」
シズは頭を抱える
その先が思い出せない
まるで、もやがかかったように…
どうしてだろう
白いもやじゃない
赤い…紅い…
「“血の色”（クリムゾン）だ…」
シズが落ちるように言葉を紡ぐ
「……正解」
ユウは笑ってシズの頬をスッと撫でる
「シズ…シズは…
俺を傷つけて、俺に裏切られて…」
死んだ