キャプテン=赤

□第15話
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「遅かったじゃねぇか」

だいぶ酒臭い酒場で騒ぐ船員達

あの後、クザンはシズを追ってくることはなかった

「たまたま、ね。
ねぇ、ログってどのくらいで溜まるの?」

とりあえず、席に座って聞いてみる

「明日の午後に出港できる
何かあったか?」

聞かれたが、首を横に振っておく




とりあえず、水を貰おうとカウンターへ行くと
カウンターに座ってたキッドにお酒を渡される

「え…」

船長に渡されたからには貰わなければ、だ

「お前ら!シズに乾杯!!」

「「「乾杯!!」」」

酒場内が一斉に熱があがる

「…溶ける」

そんなわけは無いのだが
恥ずかしかったので悪態をついてみる

シズは中の酒を一気に空ける

「ぷは…」

所謂ラム酒というやつで
ビールの嫌いなシズでも飲めた





シズはジョッキを置く

「お前、結構イケるクチか?」

キッドとキラーが両側から話しかける

「いや、もういらない。水飲む」

何か嫌な予感がしてきたので
立ち上がろうとする
が、2人に肩を押さえられる

「「………飲めよ?」」

シズの前に新しいものが置かれる

「おいおい、いい年の処女(オトメ)にそんなことしていーのかよ、船長」

外野から声が来る





「私、処女じゃないんだけど」

ぽつりと呟くと一瞬静まる
(あ、天使が通った)

「え!?ちょ!?キッド!」

「俺じゃねぇ!!」

ギャンギャンと周りが騒ぎ立てる
シズは何処吹く風で酒を飲む
キラーは相当なショックを受けたらしく
シズの横に座ると

「お父さんはそんな子に育てた覚えはありません!!」

と叫びだす始末。
シズはそんな皆を見て笑う





シズは楽しい時間を過ごした
思いっきり笑って思いっきり叫ぶ
そんなのは久しぶりだった




「ねぇ、キッド
私は…ここの船員と名乗っていいのかな?」

船員達は大方寝てるか
騒いでいるかでだいぶ落ち着いてきた
キッドとシズはカウンターのほうで2人で話す

「今日ね、海賊かって聞かれたの
なんか…ここの船に乗せてもらってるけど
船員として認められてるのかなって」

だいぶシズは酔いが回ってきていた

「……当たり前だ」

キッドは口元に笑みを浮かべる
赤いリップが弧を描く
机の上に置かれた手は白い肌に赤い爪が映える

シズは魅入るようにキッドの手に触れる
自分から触れたのになんだかドキドキしてしまう

何を思ったのかキッドが指でトンと机を叩く
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