あなたが好きなだけなのです

□小さな心配
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「ちょ、恭弥さん!?」



何度呼びかけても恭弥さんは
返事をしない。
手も離してくれない。

ただ私の手を引き進んでいく。






「恭弥さんってば!」

応接室まできて、ようやく恭弥さんは振り返る。
そして、





「君、またストーカーしてきたの?」

と真顔で言った。

「ちょ、貴方が連れてきたんじゃないですか!!」
「は…?変な事言わないでよ」
「ホントですよ!

それで、無意識にしても何か用事があったんじゃないですか?」


ほら、なんとなくと思ってやった事が
実は意味があったりとか
よくあるじゃないですか。



そう言うと恭弥さんは少し考えている様だった。



「…君さ、赤ん坊の言ってる事が遊びだとか
思ってるんじゃない?」



だったらやめなよ、
彼の言ってる事はたぶん本当だ


その言葉をきいて私はこう答えた。



「恭弥さん、嘘ついてますね!多分じゃなくて本当なんでしょう!
貴方は確信なしに物を言うなんてめったにしませんし、
多分とかで私なんかを連れ出しません!!」



「へぇ、じゃああの赤ん坊がマフィアって信じるんだ?」
「……世の中にはそんな事もあるのかなって
子供の言ってる事全部遊びって、変でしょ」



そう言うと恭弥さんはきょとんとした。可愛いなぁ。
でもすぐにため息でその顔を崩した。
「(あぁっ!可愛い顔が!(泣)」
「(?悪寒が…)じゃあどうして、赤ん坊に従ったの」





どうして?
それは、





「貴方がいたから?」
「僕がいるから?そんな事言ってたら
すぐ詐欺にひっかかるよ」
「う゛」



確かに。すぐに騙されそうだ



「はぁ」

恭弥さんはまたため息を吐いた。


「赤ん坊に、ちゃんと断っておきなよ」
「え」



断る? 断る、断る…


「それはやです」
「何わがまま言ってるの?断りなよ」
「やです!無理です!貴方のストーカーやめるのと同じ位無理です!」
「あぁ、よっぽど無理なんだね」



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