BWの部屋
□疲労蓄積
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最近、ノボリが変。
今日一緒にマルチバトルしたけど、何回も重大なミスしてた。
おかげで今日は惨敗ばかり。スーパーの方に挑戦者が来なくて良かったとは思うけど、やっぱり最
近のノボリは変だ。
「ノボリ、大丈夫?風邪でも引いたの?」
「えっ…?」
本人は自覚ないみたい。続けて「熱かな?」と聞いたものの、それは無いと思う。逆にいつもより青い顔してるから。
「帰って寝た方がいいんじゃない?あとはぼくが全部やっておくから、さ」
「いえ、クダリだけに任せては迷惑でしょう…」
ノボリはいつも通り仕事を続けようとする。さすがノボリ、と言いたいところだけど…さすがに今日はだめ。早く帰って休んでもらわないと。
「いくらノボリでも、風邪引いたなら帰ってもらわないと困るよ。ほかの鉄道員にうつるかもしれないしね」
突き放すようにそう言えば、ノボリは珍しくしょんぼりした顔をして、とぼとぼと事務室の扉を抜けて行った。
ごめんねノボリ。こうでもしないと君は意地でも仕事しようとするでしょ?
だから、今日は我慢して?
…ノボリがいないバトルサブウェイ。それを見計らったかのように、今日はシングルトレインには挑戦者が一人も現れなかった。
一日の仕事を終え、やっとダイヤの狂いを見たクダリは電子モニターを見て呟く。
「…なんか、嫌な予感がするね…」
―――4:13。サブウェイマスター・ノボリが不在のため、本日のシングルトレイン及びスーパーシングルトレインは運行を中止させていただきます
「早く風邪が治ればいいけど…」
今日も一日、変化は無い。
ダブルもスーパーダブルも、いつもと同じくらいの人数を乗せてきたはずだ。
けれど、シングル車両がなくなった日は大体ダブルに来る人が増えるはずなのに…
不気味なほど、挑戦者の数は変わらない。
事務室のさらに上の階にあるノボリの部屋を、あとで静かに覗いてみようか。
そんな事を考えながら、クダリは目の前の書類を片っ端から処理していく。
早く仕事を終わらせたい。そんな気持ちが功をなしたか、面倒な書類は一つもなかった。