帝都探偵倶楽部

□出所不明の200万
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誠「この依頼‥‥どれだけピースが集まってもそう簡単には完成させてくれないみたいだな」



誠之助は5人の集めた情報をまとめたファイルを閉じ、冷め切った珈琲を一気に飲み干す。




風「とりあえず俺と麗逸は明日また花江ちゃんのところへ行ってきます」

誠「ああ‥‥しっかり聞き出せ。ただし『誘拐者と間違って捕まった』なんてのはやめてくれよ」

風「はい。‥‥‥分ったな?麗逸」

麗「今回ばかりはお前の方が不安だ」

誠「本当に。攫ってくるなよ?ポメラニアン」

風「‥‥‥え」

麗「‥‥‥なんで困った顔すんだよ」




風実は麗逸の言葉など聞こえないようで、なにか真顔で考え込んでいる。

そして真剣な目をして誠之助に詰め寄る。




風「教授」

誠「‥‥‥なんだ」

風「‥‥抱くのも、無しですかね?」

誠「‥‥‥‥撫でる、なら」

風「‥‥ッ‥‥もう一声」

誠「‥‥‥ダメ、だ。言うこと聞かないと縛るぞ?」

風「‥‥‥‥くそッ」




悔しそうに顔をゆがめる風実の肩を誠之助がポンポンと叩く。

そんな2人の様子を残りの4人は白けた目で見ている。





瞬「なんやねん‥‥前の会話なしで聞いたらめっちゃ危険な内容やな‥‥変態」

瑠「教授は確信犯だよ‥‥変態三十路」

忠「変態にもほどがあるな。‥‥‥変態三十路ロン毛」

麗「『変態三十路教授が男子学生を誘惑してました』って言ったら‥‥クビにできるんじゃね?‥‥‥変態三十路ロン毛菌」

誠「‥‥‥聞こえてるからな?お前等」

瑠「知ってます」





恨めしそうに4人を見る誠之助を瑠生はサラッと受け流し、その間に瞬が風実を誠之助から引き離す。




忠「事実だろ。変態三十路ロン毛菌」

誠「‥‥俺は菌じゃない」

麗「そこだけかよ!?」

誠「いや‥‥なぁ?」

瑠「麗逸くん、四捨五入してももう30にしかなれないって事は既に人生の分岐点は過ぎたってことなんだよ?」

麗「‥‥‥はぁ‥‥」

瑠「ということはもう増えるのは体重、体脂肪率、加齢臭、血圧、トイレの回数。減るのは毛髪、視力、体力、生命力、睡眠時間‥‥‥そんな人間にとやかく言ったら可哀相だろう?」

誠「‥‥おい、色々待て」

瑠「あ、あと余命もか」

麗「そうっスね‥‥これからは放っておきます」

誠「だから待て。つーか俺結構寂しがりだから死ぬぞ?いいのか?」

瞬「誠ちゃん煩いで?ジェンガしとるんやから邪魔せんといて」

誠「いや、お前等200万のためにもうちょっと今日頑張ろうぜ?」




誠之助の言葉など誰にも届かず、学生達は依頼調査の時と同等‥‥いや間違いなく、それ以上の集中力をジェンガに懸けている。





誠「‥‥‥なんやねん」

風「瞬、教授がえせ関西弁使った」

瞬「誠ちゃんツッコむの面倒なんやから止めぇや」

誠「‥‥‥お前等今日もう仕事する気ねぇだろ?」

風「もちろん」

麗「とーぜん」

瞬「いえーす」

忠「Of course【当たり前だ】」

瑠「Tiredness externals【お疲れ様でした】」

誠「若干2名めっちゃ発音いいな」

忠「It is natural【当然だ】」

瑠「Because it is an English major【これでも英語専攻ですから】」

誠「‥‥‥Already stop it because it understood【分ったから、もう止めろ】」

忠・瑠「Consent【了解】」

誠「じゃ、俺帰るから。ジェンガ終わったらお前等も帰れよ。戸締りは忠征か瑠生で」




誠之助は手をヒラヒラと振って帰っていった。




麗「なんであんなに英語喋れんだよ‥‥」

風「Je suis différent de vous【お前とは違うからな】」

麗「‥‥‥お前まで英語使いやがって」

風「阿呆。これはフランス語だ」

麗「な‥‥ッ」

瞬「Never mind【どんまい】」

麗「お‥‥おまえもフランス語か!?」

瞬「馬鹿の一つ覚えやな‥‥今のは普通の英語や」

麗「おちょくりやがって‥‥」

風・瞬「おちょくられやがって」




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