帝都探偵倶楽部
□依頼主の秘め事
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麗「‥‥‥なぁ」
風「なんだ」
麗「一体いつまで待つ気だ?」
風「会えるまで」
大学から、先日花江と会った公園まで着てもう軽く3時間は経っただろう。
訪れた理由は、先日花江が口にしたことの真相を確かめるためだ。
風「俺達が花江ちゃんと接触してほんの少しの解き明かす材料を得てる間に‥‥忠征さん達は材料どころか200万の出所を探り当てた。俺達と同じか‥‥恐らくそれより少ない時間で」
麗「まぁ、あの人は裏ネットワークが凄まじいからな」
風「‥‥‥だからって、悔しいだろ」
麗「見かけによらず、負けず嫌いだよな‥‥お前」
今にも消え入ってしまいそうな儚さを纏った異国の王子のような雰囲気な割に、風実の精神は侍魂と言っても過言ではない。
曲がった事は好きじゃなく、負けず嫌い。
そして動物と関わらない限り己には厳しい。
花「あ!お兄ちゃん達だ!!」
風「‥‥‥来た」
麗「お前、目が飢えてる」
背後からいぞやの声がして振り返れば、可愛らしい赤いワンピースを身に纏った花江と、花江に連れられた花ちゃんが居た。
風「こんにちわ、花江ちゃん、花ちゃん」
花「こんにちわ!」
麗「この前の話さ、聞かせてくれないか?」
花「この前の話?」
麗「ほら‥‥アレだ、‥‥ラピちゃん!!」
風「ラピちゃんを見つけるために、花江ちゃんのお話が聞きたいんだ」
真剣な顔の風実と麗逸に花江は何か決意したような顔で頷く。
花「あのね、あたしお兄ちゃんたちにお話しなきゃって思ってたの」
風「それは‥‥ラピちゃんのこと?」
花「うん!!」
麗「その、ラピちゃんをお散歩させてた【りょうちゃん】についても知りたいんだよね俺達」
花「りょうちゃん‥‥‥わかった」
麗「よし。じゃあどこで話す?」
風「どっか連れてくわけにもいかないし‥‥」
麗「かと言って立ち話もなぁ‥‥」
風「花江ちゃん‥‥ここらへんに公園とかってある?」
花「んー‥‥‥公園より花江のお家の方が近いよ?」
風・麗「‥‥え?」
花江はニッコリ笑って『こっち』と自らの来た方を指差す。
風「いや、でも‥‥おうちの方も居たり」
麗「そうそう。迷惑だろ?遠くてもいいから公園に‥‥」
花「あたしね!ママにお兄ちゃん達のことお話したらママが今度お話したいって言ってたの!!」
風・麗「‥‥‥え゛」
花「お菓子あるよ?」
風「いや‥‥」
麗「そこまでお菓子好きじゃねぇなぁ」
花「えー‥‥‥」
花江は何がどうあっても風実達を自宅に連れて行きたいようである。
風「やっぱり公園に‥‥」
花「あ!!あたしのお家に他にもワンちゃん4匹もいるよ!!あとネコちゃんも!!」
風「なら行こうか。案内して花江ちゃん」
麗「いやいやいやいや、待て普通に待て。『なら』の意味分んねぇし」
風「お前阿呆か?総勢5匹以上の動物達が俺を呼んでいるんだぞ?」
麗「お前がアホか。教授に言われたろ」
風「3歩以上歩いたから忘れた」
麗「ニワトリか!!」
花「ねー、行こうよー」
花江は風実の服を花ちゃんと共にぐいぐい引っ張る。
花ちゃんは風実のズボンの裾を噛みダメ押しと言わんばかりに『くぅーん‥‥』と鳴く。
風「行くしかないだろう!?」
麗「お前もうちょっと愛情を分散しろよ」
風「分散してる。犬とかネコとかウサギとかハムスターとか」
麗「人間にだよ!!」
風「悪いがお前には興味ない。他をあたれ」
麗「俺だって野郎に興味なんてねぇよ!!」
風「忠征さんあたりならいけるんじゃないか?」
麗「俺の話しマジで聞いてなねぇなテメェ!!」
風「さぁ花江ちゃん、花ちゃん行こうか」
叫ぶ麗逸を放置して、風実は花江の手を撮り歩き始めた。
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