帝都探偵倶楽部

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瞬「ここ‥‥えらい雰囲気ありますね」

忠「ここが当りだといいんだけどな‥‥」

瞬「そない心配せぇへんでも、瑠生さんだって麗逸だって腕立ちますし」

忠「分ってる。‥‥‥行くぞ」





定彰大学からバイクでとばして30分。

第一候補の更船廃工場に着くまで忠征と瞬の間に会話は無く、着いてからもぎこちのないものだった。

正面の入り口を避け、西側の窓から中の様子を伺う。




瞬「入り口は‥‥2つか?」

忠「みたいだな。工場にしたら少ない‥‥見えるか?」

瞬「せやな‥‥人影は無いかんじするけど。犬がいるかどうかは分らん」

忠「‥‥‥入るか?」

瞬「俺だけ行きます」

忠「‥‥は?」

瞬「3人までならいけますんで。3人以上の気配は無い」

忠「馬鹿野郎。お前自分が丸腰なの分ってんのか?」

瞬「忠征さんよりはましな丸腰やと思っとりますけど?」

忠「‥‥‥お前」

瞬「ここは俺の話聞いてもらわへんと‥‥俺の存在意義無くなりますわ」




忠征は『せやろ?』と幼い笑顔を向ける瞬を軽く足蹴にする。





瞬「痛っ‥‥!?」

忠「ガキが格好つけてんな‥‥‥1人では、行かせない。それに俺は丸腰じゃない」

瞬「は?なんか持ってきたんですか?」

忠「ん」

瞬「はぃ‥‥?」




忠征は真顔で瞬を指差す。




忠「俺はお前を持ってきた。だから丸腰じゃない」

瞬「‥‥‥アンタ」

忠「なにも間違ったこと言ってないよな?」

瞬「ホンマえぇ性格やわ」

忠「俺を誰だと思ってる?」

瞬「一条忠征サマ。勝てる気せぇへんわ」

忠「賢い選択だ。‥‥‥行くぞ」

瞬「はいよ」




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