うちのお嬢様は……
□仰せのままに(月)
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はじめまして。
僕の名前は夜神月(ヤガミライト)。
年齢は二十二歳。職業は執事です。
若すぎる? そうよく言われます。
でも優秀であれば年齢なんて関係ないですよ。
さて、僕のご主人のお話を。
ご主人は僕より七つ下の可愛らしいお嬢様です。
お嬢様は現在ご両親と離れて、この広大なお屋敷で一人暮らしです。
お嬢様が寂しい思いをしないよう、また立派なレディになるよう日々お世話をするのが僕の務めです。
僕がお嬢様の執事に選ばれる前に、お嬢様の教育係として様々な者たちが選ばれていたのですが、この連中が……ひどい。
優秀なのは分かりますが性格とか性癖とかそう言ったモノをなぜもっと考慮しなかったのか、選んだ者のセンスを疑います。
と言っても選んだのは先輩でもあり、僕の父でもある優秀な執事、夜神総一郎なのですが。
まだ見習い執事である僕には、父の意見に異を唱える事は許されていません。
でもこのままだとお嬢様に悪い影響が出るやもしれないので、彼らの動向を見張り、少しでもおかしなことがあれば即刻クビにしてやろうと目論んでいます。
あぁ、いけない。お嬢様を起こす時間です。朝一番の大事な仕事ですから遅れることは許されません。
名前? 忘れるところでした。
お嬢様のお名前は美奈子様です。
尤も、お呼びすることはほとんどありません。恐れ多くて。
でも二人っきりの時だけは許されていますけどね。
それではまた後で。