うちのお嬢様は……
□動かないで(ジェバンニ)
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私の名前はジェバン二。年齢は秘密です。
お嬢様には美術と音楽を教えています。
お嬢様は大変センスがよく、お上手ですから教えがいがあります。
ですが時々トンデモナイ事を仰るので、それがちょっと……。
「おはようございます」
「おはよう、ジェバ。今日は何をするのかしら?」
「今日はデッサンです」
「先週もしたわよ」
「先週は静物でしたよ。今日は人物です」
「そんな大きいもの?」
「今日はまだパーツです。手とか足とか」
「つまんない」
「基本が大事です」
「ジェバはおもしろくない。真面目すぎて。いきなり大きいもの描いたっていいじゃない」
「ふざけてるとMr.夜神にクビにされてしまいます」
彼はクロッキー帳を広げた。
「自分の手を見ながら描いてみて下さい。こんな感じで」
あっと言う間に描き上げる。
彼はとても器用で正確で精密で、速い。
何でも。
でもつまらない。
「もっと大きいのが描きたい。ジェバがモデルになってよ」