うちのお嬢様は……
□仰せのままに(月)
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「お嬢様。時間がないので今日は私がお手伝いします。早くお召替えを」
「海砂呼ばないの?」
「彼女はいいです」
「どうして?」
「苦手なので」
いつもはドレスメイドの海砂を呼ぶのだが、時間もないし、夜神はけたたましい彼女が苦手だったので呼びたくなかった。
美奈子は寝間着の下には何も身に付けていないので、下着から一式全部用意してやらなければならない。
「ねえ、まだ?」
「すぐです、お待ちを……お嬢様、どうして先に脱いでしまうんですか?」
「どうして?」
「どうしてって、裸ですよ。風邪を引いてしまいますし、第一男性の前でむやみに肌を晒してはいけません! 早くコレを」
夜神は顔を赤らめながら肌着上下を差し出した。
「どうして男性の前だとダメなの?」
ショーツを穿きながら天真爛漫に質問をしてくる。
「それは……とにかく駄目です!」
「分かんない」
「時間のある時にお教えします」
答えながらあれこれと洋服のコーディネートをする夜神。
「ねぇ、夜神」
「はい」
「後ろ止めて」
「えっ?」
二十二にもなって、ブラのホックを止めさせられるとは思いませんでした。外したことは何回もあるんですが。
いつもは海砂が全部やってくれるそうで、その点に関しては、彼女はきちんと仕事をこなしているようだ。
にしても、下着くらいは自分で身に付けるようにはなってもらいたいものだ。
これは海砂に意見しておこう。