うちのお嬢様は……
□仰せのままに(月)
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やっと朝食です。
一人は嫌だと仰るので、お食事には毎回お付き合いしています。本来は使用人が出しゃばってはいけないのですが。
「夜神」
「はい?」
「卵かけご飯って知ってる?」
「……存じてますが、何か?」
とてもいやな予感がします。
「食べてみたいの。この前TVで見たんだけど、とっても美味しそうだったから」
ああ、やっぱり……。
「いけません」
「あらどうして?」
「あまりお行儀のよい食べ方ではありませんから」
「またそんな事。いいじゃない誰も見てないから」
「ぼ、いえ私が見てます」
「美味しそうだった」
「親子丼ならいいですよ」
「えー、そんなんじゃない!」
「ダメです」
「……ケチ……」
「なにか聞こえましたが、気のせいでしょうか?」
「いいえ、別に」
美奈子はちょっとふくれっ面をしながら、皿の上の目玉焼きを突いた。
お嬢様の事だ、僕に隠れて食べようとするはず。先回りして阻止しなければならない。
やっと朝食が終わりました。八時三十分から勉強が始まります。
勉強なんて全部僕が教えてあげられるのですが、執事の仕事が忙しくそうもいきません。
仕方なくそれぞれの教科ごとに家庭教師を雇っているのですが、先に述べたように曲者揃い。まとめて全員クビにしてやりたいのですが、父の手前そうもいきません。
目下粗探しの真っ最中です。
さて、一時限目開始です。