うちのお嬢様は……
□好奇心(マット)
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「マット」
「はい?」
PC画面を見つめていた美奈子が、不意にマットの方に振り返った。
マットは彼女から少し離れた後ろの席で、タバコをふかしながら携帯ゲームに興じていたが(本来仕事中は禁煙だ。夜神がうるさい)、名前を呼ばれて顔をあげた。
「どうかしました?」
「ちょっと来て」
「はいはい」
座っていた椅子を引きずって彼女の側へやって来た。
「質問?」
「ええ」
「何かな?」
にこにこしている美奈子につられ、マットも自然と笑顔になった。
なんでこんなに可愛いのかな。
「あなたの髪、染めてないんでしょ?」
「ん? 勉強の事じゃないの?」
「ちょっと息抜き。ねぇ、赤い髪は珍しいんでしょ? お父様やお母様のお友達にもいらっしゃらないし」
「そうですね。俺のはオレンジがかってますけど」
「綺麗ね」
そう言いながら彼女が髪に触れてきた。
オイオイ、駄目だよ。
「ねぇ、ちょっと気になったんだけど訊いていいかしら?」
「何ですか?」
「髪が赤いと他のところも赤いの?」
「へ?」
咥えていたタバコを落としそうになった。