うちのお嬢様は……
□好奇心(マット)
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「いやいやいや駄目ですってばっ!」
マットは美奈子から逃げるようにして座っていた椅子の後ろに立った。
「どうして? どうして駄目なの?」
きらきらした目で見つめ返すな。
「だ、駄目に決まってるでしょ!」
「だからどうして駄目なの?」
「そんなの人に見せるもんじゃないし」
「先生っていうのは、生徒が質問したり疑問に思うことがあったらそれに応えてあげるべきだと思います」
正論だ。
「でも今のは授業と関係ない」
「人の身体の構造についての質問よ」
「俺が教えてるのは語学っ!」
「でも頭いいんだから他の事も教えられるはずよ」
「いやだ! バレたら夜神に殺される!」
「バレなきゃいいの?」
「違う! 道徳上問題だから!」
「あら、授業中なのにタバコふかしてゲームするのはどうなのかしら?」
ヤバい。
「夜神は私の言うことだったら何でも聞いてくれるわよ、マット。あなたが授業中にタバコふかしたりゲームをしてるって知ったらなんて思うかしら?」
にこにこしながらなんてひどいことを言うのだろう。
脅す気か?
「ちょっと見せてくれたら気が済むの。ほんのちょっとだけ。いいでしょ?」