うちのお嬢様は……
□好奇心(マット)
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「胸毛はないのね」
美奈子はマットの胸元に手を置いてそう言った。
「た、体毛薄いから……」
「ふーん。そうね、腕とかも目立たないわね。あっ、腋、腋見せて」
言いながら彼の腕をペしペし叩いた。
「おもしろいのかよ……」
マットはそっと腕を上げた。
「あ…れ…ない。ほとんどない。数えるほどしかない。みんなこんな感じ?」
「いや、俺体毛薄くて。腋毛もほとんどないから」
「これじゃ分からない」
彼女は腕を下ろせとでも言うように、また彼の腕をぺしぺしと叩いた。
三十分ほど前、いきなり彼女から「髪の色と他のところは同じ色なのか知りたい」と言われ押し問答になった。
日本に来てから日本人の女の子何人かと遊んだが、何故か全員が知りたがった。彼女と同じ事を。
赤毛が珍しいからだとは思うが、向こうではそんなこと聞かれた事もなかった。
する時にお互い裸になるから勝手に見ればいい事で、大概はそれで満足してしまう。
彼女みたいにはっきりと質問してきた女の子は初めてだった。
好奇心が旺盛すぎる。
イヤだと言って逃げ回ったが、結局捕まった。タバコとゲームのせいだった。
仕方なく着ていたボーダーのシャツを脱ぎ、上半身裸になったのだった。
「もういいですよね?」
「駄目。これじゃ分からないもの。下も脱いで」
「ええっ!? 冗談ですよね?」
「いいえ、本気。ほら早く」
彼女は彼の腰をバンと軽く叩いた。