うちのお嬢様は……

□好奇心(マット)
5ページ/6ページ


 「胸毛はないのね」
 美奈子はマットの胸元に手を置いてそう言った。
 
 「た、体毛薄いから……」
 「ふーん。そうね、腕とかも目立たないわね。あっ、腋、腋見せて」
 言いながら彼の腕をペしペし叩いた。
 
 「おもしろいのかよ……」
 マットはそっと腕を上げた。
 
 「あ…れ…ない。ほとんどない。数えるほどしかない。みんなこんな感じ?」
 「いや、俺体毛薄くて。腋毛もほとんどないから」
 「これじゃ分からない」
 彼女は腕を下ろせとでも言うように、また彼の腕をぺしぺしと叩いた。

 
 三十分ほど前、いきなり彼女から「髪の色と他のところは同じ色なのか知りたい」と言われ押し問答になった。
 
 日本に来てから日本人の女の子何人かと遊んだが、何故か全員が知りたがった。彼女と同じ事を。
 赤毛が珍しいからだとは思うが、向こうではそんなこと聞かれた事もなかった。
 する時にお互い裸になるから勝手に見ればいい事で、大概はそれで満足してしまう。
 彼女みたいにはっきりと質問してきた女の子は初めてだった。
 好奇心が旺盛すぎる。

 イヤだと言って逃げ回ったが、結局捕まった。タバコとゲームのせいだった。
 仕方なく着ていたボーダーのシャツを脱ぎ、上半身裸になったのだった。
 
 「もういいですよね?」
 「駄目。これじゃ分からないもの。下も脱いで」
 「ええっ!? 冗談ですよね?」
 「いいえ、本気。ほら早く」
 彼女は彼の腰をバンと軽く叩いた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ