novel
□風邪
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小松風邪ネタ
自分は体が丈夫な方だと思っていたので、風邪なんて滅多なことでは引かないだろうと甘く見ていた。
(あの時、トリコさんの言う通りにちゃんと乾かしとけばよかった…)
昨日トリコさんとのハント中に通り雨に遭い、服がびちょびちょになったまま放置していた。
トリコさんは早く乾かせと言ってくれたけど、面倒だったので大丈夫ですと答えてしまった。
なにより僕のせいで大事なハントの時間を無駄にはしたくなかった。
(トリコさんにこの事を知られたら怒るだろうな…)
怒る前に呆れられるかもなぁ…とまるで他人事のように考えていると薬の副作用による眠気に襲われた
「ぐっすりだね」
「松の寝顔ちょー可愛いしvV」
「あんましデケェ声出すんじゃねぇよ。小僧が起きちまうだろ」
「ったく、あんだけ乾かせって言ったのに…」
今まで自分が何時間寝ていたのか分からないが、自分の寝ているベッドの横で誰かが会話をしている声で目が覚めた。
(ん…なんだか聞きなれた声がするような…)
うっすら目を開けると、そこには美食屋四天王であるトリコさん、ココさん、サニーさん、ゼブラさんの四人の姿があった。
「うひぁっ!!皆さんどうして此所に!??」
あまりの驚きにベッドから飛び起きようとしたらココさんに阻止された。
「いいよ、寝たままで。辛かったね。食欲はあるかい?」
「ありがとうございます。えっと、食欲はあるほうですけど…あの、皆さんはどうやって入って来られたんですか?」
確か戸締まりはキチンとしていたはず……
僕の問いかけに四人は一回顔を見合わせて改めて僕を見てこう言った
「「「「扉をぶち破って入ってきた」」」」
「え"……」
嫌な予感とはこういうときには当たるものだと改めてそう感じた
「か…確認しに行くのが怖い;」
今、玄関を見たら気絶するかも……
というか、僕よく起きなかったな…;
「そんなことよりよぉ小松……」
「は……はぃ;」
(トリコさん…やっぱり怒ってるよね)
「思ったより元気そうでよかった」
「えっ?」
トリコさんはさっきまで眉間にシワをよせていたけれど、直ぐにニッと笑って僕の頭を少し乱暴に撫でた
「風邪が治ったらまた二人でハントに行こうな」
「ご…ごめんなさい」
「おいおい、謝んなよ。まぁ、確かに俺の言うこと聞いときゃこんなことにはならなかっただろうが
…。これから気を付けりゃいいだろ?お前身体はお前一人のモンじゃねぇわけだしな」
「はい!!ぅ…ゴホッゴホッ」
急に大きい声を出したせいか咳がでてしまった
「無理しないで小松君。料理を作ろうと思うんだけど、キッチンを借りてもいいかな?」
ココさんが咳き込んでいる僕の背中を優しく擦ってくれた
「ココさんが料理を?」
「うん。風邪のときこそ栄養のあるものを摂らなくちゃね。ちょうどトリコ達がハントして来てくれたから材料は問題ないよ」
「皆さんが捕ってきてくださったんですか?」
僕はベッドの横に立っている三人に訊ねる
「ああ、今日捕ってきたのはどれも滋養のあるもんばっかりだぜ!!」
「松には早く元気になってほしーし」
「それ食ってさっさと風邪治せ」
「ゼブラ、少しは優しい言い方が出来ないのか?」
「うるせぇ」
小松君は寝てていいよとココさんが言ってくださったので、お言葉に甘えて僕は横になった