夢(ガンダム)
□待受。
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深夜二時。
久々の地上で、時間の経過を感じることが出来、嬉しくもあるが、彼氏であるティエリアの地上嫌いはまだ治っていない為、一人はしゃぐことも出来なかった。
私に背中を向けて、隣で寝息をたてるティエリアを起こさないように、静かに携帯を開く。
いつもと変わらず、無表情ながらも、しっかりとカメラ目線な自慢の彼氏様が、ディスプレイに表示されて頬が緩む。
そう。
私の待受は、勿論、見目麗しい彼氏、ティエリア・アーデなのである。
「アリア、どうかしたか?」
「ティ、ティエリア!」
満足感に浸っていると、ティエリアから声がかかり、あわてて私は携帯を閉じた。
こちらを向いたティエリアは、若干不満げな表情を浮かべていた。
「どうして、隠した?」
「べ、別に、隠したワケじゃない…よ?」
「なら、僕が見ても構わないな?」
「え?だ、ダメだよっ!ティエリアっ……わっ!」
とっさに携帯を隠そうとしたが、時すでに遅く、ティエリアに携帯を奪われてしまった。
恥ずかしくなって、ティエリアから顔を背け、布団の中に潜りこんだ。
「これは………僕?」
さりげなくティエリアが呟いたその言葉に、顔が火照るのを感じた。
「アリア…」
ギュッと後ろから抱き締められて、心臓が跳ねる。
いつもと比べて、速くて大きすぎる鼓動がティエリアに伝わっているのではないかと、気がきでない。
「ティ、ティエリア?」
いつまでも無言で私を抱き締めるティエリアの名前を呼んでみた。
「あぁ。すまない。アリアが、僕を待受にしていてくれたことが嬉しくてつい…」
ティエリアが自分の感情をあらわにするなんて、珍しい…
そう思いつつ、ティエリアの腕の中で回転して、ティエリアに向き直った。
「だって…いつでも貴方に、見守られていたかったから」
「っ!」
ティエリアは私を抱き締める力を強くした。
そして、
「僕はいつだって、君のそばで、君だけを見ているよ。アリア」
私の耳元で、極上の殺し文句を囁いた。
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